昨夜、気合いで行って来ました@TOHOシネマズ六本木ヒルズScreen6。
“GUEST”
監督:ホセ・ルイス・ゲリン
2010年/131分/モノクロ
ビクトル・エリセの後継者とも囁かれるスペインのホセ・ルイス・ゲリン監督が『シルビアのいる街で』を抱え、世界中の映画祭を巡った際の合間に撮りためた日記形式のドキュメンタリー。
日付け順に断片的な映像(淡々と、時にファナティックな)が2時間あまり続くのだけど、まるで退屈することなく観ていました。始まり方もアーティスティックで、クールで、めまぐるしく場所も移り変わるので興味が尽きることはありません(日付け以外にテロップが入るわけじゃないので風物を見て推測する感じ)。
新しく生まれたばかりの目で世界を見る子供のような感性の人なんだろうな、ホセ・ルイス・ゲリンという監督は。
彼が面白がる対象を彼のキャメラを通して見ているうちに、一緒に旅をしているような、彼の目と一体化したような感覚になってくる…そういうことなのだ。
映画祭の喧騒を離れて街並みをプラプラと分け入って行く…何かいいなあ。
(↑写真)子供たちとの無邪気なやり取りが笑いを誘う。でも、傍らをイスラエル人の車が通過したりすると、一気に緊張が走るのだ。さりげなくテロの話が出たりする瞬間に複雑な情勢を窺い知ることができる。
当たり前だけど、世界は広い。貧しいスラムの現状や宗教観の違いなど…日本の日常とは明らかに異なる風景が映し出されるのだが、この監督独自のセンスがどこか詩情さえ漂わせ、人間という存在の不思議さ、いとおしさを感じさせてくれる。
映画祭でも、生活に追われるごく普通の女性たちとのやり取りでも、「映画とドキュメンタリーの違いは?」ばかり浴びせられているのがまた面白かった。