2016-02-23

【演劇集団キャラメルボックス入門 その1】2016年の公演スタート「フォーゲット・ミー・ノット」「きみがいた時間 ぼくのいく時間」 このエントリーを含むはてなブックマーク 

演劇集団キャラメルボックスの2016年がはじまりましたよ。

■キャラメルボックスのダブルチャレンジ企画が開幕!
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201602220008

ほんで、ちょっとミニシアター好き・運営にも役立つハナシかもと、演劇集団キャラメルボックス(以下、キャラメル)について書き綴ってみる。
時間のないお方は、文末URLの参照書籍だけでもクリック。

まぁ、演劇を見ない方は劇団名すら知らないかもしれない……。
というわけではないけど、ちょっと演劇から遠いところにいる方々にぜひご紹介したいのである。

キャラメルは、今年旗揚げ31年目を迎える“劇団”だ。
劇団とか商業演劇とかプロデュース公演それぞれの違いについては、またの機会として(実はかなり違う)。

ちなみに同じく学生劇団出身の劇団四季は、今年創立63年くらいだからキャラメルはようやく半分のキャリアとなる。しかし、小劇場出身でここまで長期間“劇団”として継続している劇団は数少ない。小劇場“第三世代”と呼ばれた夢の遊眠社や第三舞台の例をあげるまでもない。

そのなか、なぜキャラメルは続いているのか?

もう10年以上ワタクシは取材していないので、それを語る資格も情報もないんたけど……(死ぬ前に密着したい)。その昔、次々と低迷していった劇団と同じ過ちを繰り返さないため、いくつか決めごとがあったことを覚えている。

もちろん、新しいことを次々と試していったことも忘れてはならない。
具体的なことはのちのち書くとして。

まぁ、20年以上、演劇に触れていない方にはキャラメルは新鮮すぎるかもしんない(小学校とかで古くさい芝居を見せられた方)。
そんなコンセプトと演出である。
いまや常識になりつつある演出術もあると思う。

個人的には、政治や大手資本に振り回されることがなかったのも大きいのかなと考えたこともあるけど、このあたりは取材で聞いたことはないので、あくまでも妄想。

そのうえで、あえて継続の理由を語るとしたら、キャラメルの底力は劇団としての結集力とお客さん第一主義だろう。

当たり前といえば当たり前だが、実は小劇場系劇団って、ただの自己満足だったり(自分の表現を見せてやっていると語る上から目線の演出家がイマドキでも少なくない)、ビジネス無視の世界にいる劇団が多かったりする。

ところが、キャラメルは早い時期からビジネスも考えていたわけですな。

というのも、製作総指揮の加藤昌史さんは早くから役者を辞めて、裏方(製作)として劇団を牽引。

映画と違って、劇団には演劇独自の、映画でいうところのプロデュース、広報・宣伝、弁当手配、会場手配、宿泊手配、運動部的マネージャーなどの仕事を丸ごと請け負う“製作(制作)”というポジションがある。

多くの売れない劇団の場合、役者をあきらめた劇団員が担当したりする。

実はいまや売れっ子の「佐々木蔵之介」もかつては制作担当(役者兼任)だったときがある。たぶん渉外が得意だったからだろう。
そのとき、彼からの年賀状「制作担当になりました!」はいまも持っている。

余談だが、蔵之介(当時そう呼んでいた)は制作担当として東京のマスコミを回ったときの仲間がのちのち東京進出を助けてくれたとなにかの番組で語っていた。つまり、マスコミ担当者と仲良くなれるのも制作担当のメリットなのだが、多くは苦戦していたと思う。

そのなか、劇団の座長・主宰・演出家・座付作家は、芝居作りに夢中で、制作の苦労や仕事なんて眼中になし。

だから制作担当者は、劇団と外部(劇場やマスコミなど)の間で、常に中間管理職的な苦悩の日々を送ることも少なくない。

なにしろ、こんなことが大昔あった。

かつて関西の小劇場・扇町ミュージアムスクエアで「演劇制作講座」を開催したのだが。

途中で参加者が「劇団の人はわたしの苦労をなにも分かってくれなくて……」と泣き出すことがあった。

まぁ、それだけ制作は大変なのである。
劇団代表や仲間にも愚痴がいえず劇団をカゲで支えているのだ。

そのなか、20年前の加藤昌史さんの言葉は違った。

「ゲネプロ(本番前の最終リハーサル)が、お客さん視点で自分が面白くないと思えば、公演を中止します」

いうまでもなく、小劇場劇団でいちばん偉いはずの座長とは違う決定権を持つポジションにいたのである。

こんなことを語る制作担当ははじめてだった……。

そんなことも書いている書籍はこちら。

■拍手という花束のために
http://www.amazon.co.jp/dp/4947767022

■人の前に出る仕事の人へ。(昨年12月発売でバカ売れ中)
http://www.amazon.co.jp/dp/4835628594

※個人的覚え書き・草稿ですので、随時書き直します。のちのち電子書籍としてまとめめつもりで、連載予定。

※画像は昨日の大阪公演の「撮影OKタイム」にて撮影。

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中元文月

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中元文月

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