2015-06-01

四谷散策 このエントリーを含むはてなブックマーク 

冬里君が、昔、四谷にいた頃に住んでいたアパートに行ってみたら、取り壊される寸前だったと言っていたので、私も見にいってみた。

しかし、ぜぇんぜん道順とか覚えていなかったし、
そのあたりを地図で確かめようにも、区画割りが珍妙なので、
とりあえず、昔礼子さんに描いてもらった手描きの地図を頼りに駅から歩いていってみたが、
その紙の上で、かつて目印として記されていたものが一つもない。
予測してはいたことだが、そもそもセブンイレブンの場所からして昔と違うんじゃ?
なので途中で地図は無視して、足の向くままに歩いていったら、それらしきところにはまったくたどり着けないまま、小さなお稲荷さんに出くわしてしまった。

まあ、そこまではある意味私としては順当である。

そこで、手を合わせてお祈りをしていたら、後から近所の人らしき女の人がやってきたので場を譲り、その人のお参りが終わるのを待ってから、番地を言って道を尋ねてみたら、
「"天狗"のそばじゃない?」
と言うから、
「え、天狗のことでなにかあったんですか(やっぱり)?」
と勢い込んで聞いたところ、
例によってまた頭のおかしい人かと思われたらしく、
「お店の名前よ」
と言われて、ちょっとうさんくさげな目を向けられたけど、
ついてらっしゃい、と言われて、近くのお店までいっしょに行って、そこのお店の人に町内の地図を出してきてもらい、この一画になる、と指を差して教えてもらった。
それでお礼を言ってその場を去り、そこから50メートルと離れていなかったその場所まで坂を上っていったものの、
今度はそのあたりでまた迷ってしまって、
これでもない、これでもなさそうだな、と、くねくねと曲がりくねった細い路地をさまよっていたら、
それこそ、取り壊さなければならないようなボロ家やボロアパートが両側にいっぱい密集していて、
足を踏み入れたことのないところだっただけに、ことさらおもしろかった。

で、路地を抜けたら別のところに出てしまったようなので、
もう一度細い道を戻り、坂を上り続けたら、ようやくそれらしき建物に出遭いはしたが、
どうもアパートの全体像に見覚えがない。入り口のそっけなさは記憶にあるものときわめて似ているが、階段を上って左手に部屋があったような気がするのに、この造りだと左側が存在しない。
うーん、違ったかな、というあやふやな思いのまま、中に入るまでのずぶとさは今日は持ち合わせていなかったので
(というのも、大家さんが同じ敷地内に住んでいて、どうも家にいるようだったので)、
しばしたたずんで眺めてから、その場を後にした。

冬里君は中に忍び込んで見納めをしてきたようだったんだけどね。

もちろんもう人は住んでいないらしく、解体はまだ始まっていなかったけど、今月中に終わらせるという予定を記した立て札が立っていた。
ボロい家屋ほど味のあるものなのに、なんだかもったいない。

その後、最初からそのつもりだったとおり、赤坂見附まで歩こうとして、念のために途中でおまわりさんに道を聞いたのが運の尽きで、
気づいたら信濃町に向かう道を歩いていて、権田原というところで、青山通りに向かう道に舵を切ったが、この間の千駄ヶ谷の交番といい、最近のおまわりさんはまったく頼りにならん。
青山でこれも念のために看板地図で居場所を確認していたら、同じように地図をのぞき込んだスーツ姿の男性二人連れが、
「なんだよ、こっちは信濃町じゃないかよ。あのおまわりさん、うそ言った!」
と文句を言っていた。

今日は信濃町になにか人を向かわせるものでもあったのだろうか……。

キーワード:

工藤冬里 / 礼子さん / 天狗 / 稲荷


コメント(0)


Reiko.A/東 玲子

ゲストブロガー

Reiko.A/東 玲子

“human/cat also known as Nyanko A 人間/ねこ。またの名をにゃんこA”


関連骰子の眼

関連日記

月別アーカイブ