仮設避難所によって、程度に差があるようで、
なかには「ここは姥捨て山だ」と形容されている避難所もあるとのこと。
とくに「3」に書かれている内容。
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西八幡前仮設住宅住民によれば、入居から2か月ほど経過した頃
に市の職員が訪れ、ハザードマップであることを告知した文書を手
渡され、その場面を写真撮影され、市職員はそのまま説明せずに
帰ったが、その後によく読んで初めてそのような危険地帯の仮設
住宅であるとわかり衝撃を受けたという。
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写真撮影され・・・って、これは、説明したという証拠づくりのためでしょうか。
もうすぐ3月11日から一年を迎え、さまざまな行事の開催、振り返り番組・記事がでてくると思いますが、まやかしの東電福島第一原発の「冷温停止状態」のように、
被災地がどう描写されるのか、見極めなくてはとの思いを強く感じました。
以下、「ヒューマンライツ・ナウ」の声明を共有させていただきます。
・・・転送・・・
ヒューマンライツ・ナウメルマガ読者の皆様
東日本大震災から約一年がたとうとしている今、被災地
では何がおきているのか。
ヒューマンライツ・ナウは、2月18日、19日の気仙沼
事実調査を踏まえ、以下の声明を発表いたします。
この深刻な事態については、詳細な報告書を近々公表
予定ですが、一日も早い行政、関係者の対応を求める
ため、緊急に声明を公表することにいたしました。
是非普及いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
ヒューマンライツ・ナウ事務局長 伊藤和子
東日本大震災からまもなく1年、今も「生存」が脅かされる仮設住民たち
1 東日本大震災からまもなく1年が経過しようとしている。
各自治体が復興計画を策定する陰で、支援が遅れ、存
在すら十分に知られていない孤立した仮設住宅があり、
被災者は未だに「生存」が脅かされている。
そして、こうした事態は冬の寒さとともに深刻さを増している。
2 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、2012年2月18日、
19日の二日間にわたり、宮城県気仙沼市の仮設住宅、
なかでも地元住民が「特に深刻だ」と訴える仮設住宅を訪問した。
ヒューマンライツ・ナウ調査チームが訪れた「赤岩牧沢テニス
コート仮設住宅」は、傾斜の厳しい山間に位置し、車がないと
市街地への移動は困難である。
しかし、最寄りのバス停までは1kmほどで、街灯も十分に
設置されていない。住民は「夜は真っ暗だし、周辺には熊、鹿、
まむしがいて外出するのが本当に怖い」と、実情を訴える。
この仮設住宅に入っている56世帯中、36世帯が独居老人という
が、行政からは食糧支援や医師・看護師の訪問支援は全くない。
集会場に顔を出す住民は80名中10名くらいに過ぎないが、
引きこもった住民への心のケアや、孤独死対策も行政は
ほとんど講じていない。
車等の移動手段のない高齢者・障がい者への移動支援も
全くなく、こうした人々は、通院のために有料・高額の介護タク
シーを利用せざるを得ず、所持金を使い果たしていく状況という。
この仮設住宅は山間に位置するため、周辺地域に比べて気温
は5度くらい低い。ところが、暖房器具が入ったのは、昨年12月
20日であったという。
仮設住宅の水道設備の凍結防止が十分なされないまま、
水道管は長らく凍結していた。
この仮設住宅に限らず、気仙沼市では昨年10月末頃から水道管
が凍結して使えなくなってしまうことが多いという。
こうした事態に見かねた、地元や県外からの個人ボランティアの
連日・無償の活動により食糧・物資供給等がなされ、人々の生存が
なんとか支えられている状況であるが、今後どこまでそうした支援が
続くのか懸念される。
独居老人の孤独死等、あってはならない事態をどうやって
防ぐことができるのであろうか。
3 気仙沼市の西八幡前仮設住宅、小原木小学校住宅、旧月立
小学校住宅の合計3箇所がハザードマップ上、土砂災害の危険
地域と指定された場所に建設されている。
西八幡前仮設住宅住民によれば、入居から2か月ほど経過した頃
に市の職員が訪れ、ハザードマップであることを告知した文書を手
渡され、その場面を写真撮影され、市職員はそのまま説明せずに
帰ったが、その後によく読んで初めてそのような危険地帯の仮設
住宅であるとわかり衝撃を受けたという。
危険に脅えながら暮らしている住民は、「津波の被害を受けたの
に今度は山津波の危険と隣り合わせ」と嘆いている。
山の斜面に接した同仮設住宅は日当たりが悪く、「土台はべニアに
タイル張りで、畳も敷かれずカーペットを敷いているが、布団で寝て
起きると布団が著しく濡れている」「結露やカビも生じやすい。扉が
凍って外出から帰ってきても扉があかないこともある」と住民は
訴える。
工事の手抜きのために部屋に隙間があいていて、家の中から
外が見える状態で、市民団体が見かねて応急措置を講じたという。
水道管が破裂して流れた水で、仮設住宅の前の道路面は長らく
凍結していた。この仮設住宅にも食糧支援や医師・看護師の訪問
支援もなく、仮設住宅のかくも劣悪な状況にあるにも関わらず、行政
による対応はなされていない。
政府は、仮設住宅に対する寒さ対策として、畳の設置、断熱材の
追加、水道管等の凍結防止(水抜き、断熱材追加、凍結防止ヒーター
整備)を災害救助法上の国家補助の対象となるとするが(厚生労働
社会・援護局 社援総発0928第1号等)、気仙沼市ではこうした寒さ
対策は実現しないまま水道管凍結・破裂等の事態を迎え、未だに
対策は不十分である。
4 こうした過酷な環境のもと、住民は、義捐金・生活再建支援金等
の給付金をしだいに使い果たしつつある。
ところが、被災者が、津波で流され、建築制限がかけられたまま
利用できる見通しもない土地を有していたり、仮設住宅からの移動
手段を確保するために自動車を保有していること等を理由として、
生活保護の道が閉ざされることが懸念される。
ヒューマンライツ・ナウが、気仙沼市に生問い合わせたところ、
「津波で流された土地に建築制限があるとしても、建物建築をせず
とも土地の有効利用ができる以上、生活保護は受けることは難しい」
との回答であった。
5 被災地では支援格差が深刻化している。
被災地のなかには、行政の対応やボランティア組織の対応により、
比較的支援が届いている仮設住宅も存在する。
同じ宮城県でも石巻市では気仙沼では一切認められていない畳が
敷かれており、移動が困難な仮設住民への移動支援もきめ細かい。
しかし、その一方で、人の目の届きにくい仮設住宅においては、
支援が届かず、生存の危機・新たな災害の危機に晒され、過酷な
日々を生きる被災者がいる。
「赤岩牧沢テニスコート仮設住宅」「西八幡前仮設住宅」の住民は
ヒューマンライツ・ナウ調査チームに対し「ここは姥捨て山だ」と訴え
たが、仮設住宅のあまりにも過酷な条件、そして行政の対応の欠
如が、被災者にそのような感想を抱かせている。
声を挙げにくい立場に置かれた被災者にひたすら我慢と犠牲を
強いたままでは、真の復興はありえない。
国、宮城県、気仙沼市はこうした住民放置の実態を速やかに
調査し、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」が
実現するよう、すみやかな対策を講じるべきである。
以上
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