ということは、これまで正気じゃなかったということか……。
むかあし(とは、確か80年代)、
ギリシャが猛暑に見舞われて、老人がたくさん死んでいる、という記事を新聞で読んだことがあって、
暑さのあまりに人が死ぬということがその頃にはぴんと来なかったのだけれど、
今は日本列島が正にその状態に見舞われてしまっている。
確かにギリシャの日差しは強烈で、
ある時、観光で行ってホテルの窓からパンテオンを眺めていたら、
まだ朝の9時にもなっていないのに窓ガラスを通して入ってくる日差しが肌に痛くて、
これはこの国では人が死ぬのも無理はない、と思ったものだけど、
日本の夏はそれよりもとにかく湿度が高いんで、
気温そのものよりも、湿気によるべたつきで体調をくずしてしまいそうになる。
なにしろ、エアコンを入れていない日々は、常にお肌が結露しているような状態だった。
扇風機でそれをなんとかごまかしていたんだけれど、
ちょっとでも扇風機を止めると汗がじんわりと肌ににじんできて、
すぐまたスイッチを入れずにはいられなかった。
そのうちお風呂から上がっても、またたく間もなく背中に汗の玉が吹き出てくるようになって、危機を感じたのだった。
エアコン(のスイッチ)をつけたおかげで、かなり快適になった。
よかった、このぼろいアパートに前の人がつけたエアコンが残してあって。
じゃなきゃ私のことだから、うちはエアコンないから、とか言って、ずっと扇風機で我慢しようとしたかも知れない。
人間、やっぱり我慢し過ぎちゃいけませんね。
しかし、聞いた話では老人は我慢が美徳の世代だからなだけじゃなくって、
暑いということ自体に感覚が鈍っていて自分で気がつかず、
それで熱中症状態に陥っていることがわからなくて手遅れになってしまうのらしい。
さすがにその状態は実感しづらいけれど、
そう言えばこれもかなり以前、雨が降る中、女どもだけで美術館に草間彌生展を見に行って、
あいにくの梅雨寒にみんなが歩きながら「寒い寒い」と言うのが私だけわからず、
「え、あたし、寒くない」と言って傘を差しているむき出しの自分の腕を見下ろしたら、
見事に鳥肌が立っていた、ということがある。
それでみんなに、「生理中だからわからないんだね」と笑われた……。
若い時のことだから笑い事ですんだけれど、年老いた人は誰かが見守ってやらなきゃいけないんだろう。
「適切な冷房の使用」(行政用語)なんていう言葉だけでは、奥ゆかしくて耳に届きそうにない。
しかも、そもそも人の言葉が耳に入りにくくなっている年齢だし。
せいぜい、もう日本でも暑さで人が死にかねない、いや、確実に死ぬということを、
ニュースや新聞で騒ぎ立てて知らせていくしかないのかなあ。
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写真はそのギリシャに行った時に路傍に寝そべっていた犬。
アテネではあちこちで犬が昼寝していた。
でも、この写真からでは、当地の強烈な暑さがまったく伝わってきませんね。
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