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公害薬害職業病 被害者補償・救済の改善を求めて
第2回シンポジウム
―原爆症、森永ひ素ミルク中毒、医薬品副作用被害、薬害エイズ
そしてフクシマ―
「被害補償」のあるべき姿を問う
当研究会では2007年以来、公害・薬害・職業病などについて、補償
救済の対象判定方法や給付内容等160項目に関する比較研究を行って
きました。2009年5月には、水俣病・大気汚染・サリドマイド・カネミ油症・
アスベスト(労災+公害)の5事例を対象に、共通の比較項目による横断
的な事例研究という初の試みを報告するシンポジウムを開催しています。
今回はその第2弾として、原因企業が拠出する基金で運営を続けている
森永ひ素ミルク中毒、被害の重篤さを反映した補償を獲得した薬害エイズ、
製薬企業の拠出による副作用被害の救済としての特徴を有しつつ適用者
が少ない医薬品副作用被害、そして戦後の長きにわたって被曝(放射線)
の影響が争われ続けてきた原爆症、という4つの事例について、比較研究
から見える教訓や課題を考えます。
政策担当者や研究者はもちろん、公害・薬害・職業病の当事者の皆様、
そして放射能や化学物質による汚染や被害に関心をもつ多くの市民の皆様
のご参加をお待ちしております。
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日時:2012年 2月4日(土) 13時00分開会
(12時半開場,終了17時00分)
会場:YMCAアジア青少年センター(B1F スペースYホール) ※下記参照
定員200名(当日先着順)
参加費:1000円(資料代)
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<第1部>13:00~15:00
○パネルディスカッション 「比較制度研究報告:
原爆症、森永ひ素ミルク中毒、医薬品副作用被害、薬害エイズ」
(休憩)
<第2部>15:15~17:00
○緊急報告
「公害薬害職業病の比較研究から福島原発事故の補償を考える」
○福島原発事故の被災者からの訴え
○総合討論
<シンポジウムチラシ>
http://www.einap.org/jec/committee/hoshoken/sympo2nd120204.pdf
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主催:公害薬害職業病補償研究会
協賛:日本環境会議(JEC),全国公害弁護団連絡会議
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会場: YMCAアジア青少年センター
http://www.ymcajapan.org/ayc/jp/map1.htm
東京都千代田区猿楽町2-5-5 TEL: 03-3233-0611
JR水道橋駅より徒歩5分
JR御茶ノ水駅より徒歩8分
地下鉄神保町駅より徒歩8分
問い合わせ先: シンポジウム事務局
〒136-0071 東京都江東区亀戸7-10-1 Zビル5F
全国労働安全衛生センター連絡会議気付
公害薬害職業病研究会事務局
080-3024-6210(代表 古谷杉郎)
090-3533-4489(事務局 久保田好生)
<今回のシンポジウムで扱う主な事件とパネラー>
◆原爆症――内藤雅義(原爆病訴訟弁護団)
疫学調査システムが軍事目的でアメリカ占領軍により始められたこと、
そのため軍事機密の壁に包まれていたため詳細が分かりにくかったが、原爆症
認定訴訟を通じてある程度明らかになった。線量(初期放射線)評価の基礎
となる原爆構造の基礎等は不明のままである。ただし、放射線影響調査の
スキームを立てるに当たって、初期放射線(ガンマ線と中性子線)の外部被曝
による影響の調査しかできないという大きな問題を孕む。残留放射線の影響
を持続的に調査せず隠蔽をはかったとしか考えられない。被爆者の疫学調査
が世界中の放射線影響評価の基礎におかれていることを考えると、その問題
は大きい。
◆森永ひ素ミルク中毒――平松正夫(森永ひ素ミルク中毒の被害者を守る会)
この事件は、昭和30年8月24日、岡山大学の報告によって明るみに出された。
森永乳業株式会社が、徳島工場で昭和30年4月頃から相当期間にわたって製
造販売した森永ドライミルクの中に入っていたヒ素等の有毒物質によって、
当時これを飲用した乳幼児等12000人以上が重篤な中毒症状を起こし、うち
130人以上もの乳児が死亡するという人類史上類例のない事件であった。
1973年の民事訴訟や不買運動を契機に、被害者の恒久救済体制確立に向けて
「守る会」、厚生省、森永乳業の三者会談がもたれ、同年12月23日の「三者
会談確認書」に基づき、財団法人「ひかり協会」が設立され、救済事業が開
始される。
◆医薬品副作用被害――栗原 敦(MMR被害児を救援する会(全国薬害被害者団体
連絡協議会加盟))
1971年6月、武田薬品の社長が「被害者救済保険」の創設を示唆、
同年10月、厚生省「医薬品の副作用による被害者の救済制度」研究班が
発足、1973年6月、厚生省は研究班を拡大、「医薬品の副作用による健康
被害の救済制度研究会」とし、1976年6月、同研究会の報告書がとりまとめられ、
1979年2月、政府が「医薬品副作用被害救済基金法案」を上程、同年9月
7日同法案可決、同10月に医薬品副作用被害救済基金が誕生した。相次ぐ
薬害事件の発生により、訴訟によらない副作用被害の迅速な救済という社会的
要請がたかまるなか、製薬業界が経営上のリスクを回避しつつ社会的要請に
応えるかたちで本制度が創設されたといえよう。
◆薬害エイズ ――保田行雄(薬害エイズ訴訟弁護団)
血友病患者らがヒト免疫不全ウイルス(HIV)に汚染された血液によって作ら
れた(非加熱)血液製剤を投与されたことによって、HIVに感染したもの。
それにより、後天性免疫不全症候群(AIDS)やエイズ関連症候群(ARC)など
の発症をした患者に多数の死者が出た。1996年2月の菅直人厚生大臣の
謝罪を契機に、被害者らが非加熱製剤を承認した厚生省に対して損害賠償
を求めた民事訴訟の和解が成立(業務上過失致死容疑の刑事訴訟等は
継続)。翌年、和解金をともに被害者らが設立した「はばたき福祉事業団」
(任意財団、2006年より社会福祉法人化)による救済事業と薬害再発防止
の取り組みも開始される。
◆緊急報告:
「公害薬害職業病の比較研究から福島原発事故の補償を考える」
――除本理史(大阪市立大学、環境政策論・環境経済学)
<第1回シンポジウム(2009年5月開催)で扱われたテーマ>
水俣病 サリドマイド事件 カネミ油症 大気汚染 アスベスト
※詳しくは日本環境会議ホームページに掲載していますので、ご参照ください。
http://www.einap.org/jec/committee/hoshoken/index.htm