2011-12-12

★映画「恋の罪」公開記念 中村うさぎトークショーリポート★ このエントリーを含むはてなブックマーク 

勝手にトークショー公式サイトより
http://d.hatena.ne.jp/katteni-talkshow/
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11月26日(土)、青山のtheaterにて、
映画「恋の罪」公開記念 中村うさぎトークショー<女の地獄>
『UTAKATA ウタカタ ~ 女王★中村うさぎ「愛のショック療法」』!!! 上映付き !!!
が開催されました。

当日は快晴。満場のお客さまをお迎えし、まず前半はドキュメンタリー映画の上映から。
2005年1月に公開された『UTAKATA ウタカタ ~ 女王★中村うさぎ「愛のショック療法」』は、中村うさぎさんに密着し“女王”の本音トークを引き出した作品です。岩井志麻子さんや倉田真由美さんとの対話、豊胸手術の現場への潜入など、中村うさぎさんの“ザ・女”を凝縮した1時間をお楽しみ頂きました。
会場には、本ドキュメンタリーを撮影された中田文監督にもお越し頂きました!

さてトークの部、まずはゲストMCの、女装家のブルボンヌさんと一緒に、今回の「勝手にトークショー」のきっかけ映画=「恋の罪」の予告編を観ます。


ブルボンヌさんの呼びかけとともに、いよいよ中村うさぎさんの登場です!

「恋の罪」は、97年に起きたいわゆる“東電OL殺人事件”にインスパイアされてできた映画。中村うさぎさんもまた、このショッキングな事件に衝撃を受けたそう。当時、“東電OL”が安い値段で自分を売っていたことが話題になりましたが、「恋の罪」では、昼は助教授・夜は売春婦の美津子が、「値段は無いんだ、金を取ることに意味がある」と言います。
――「女の人の生き方って、例えば彼氏に何を買ってもらった、ブランドのバッグを買ってもらったみたいなことで、自分の価値が上がったような気になるわけでしょ。高いプレゼントをもらえば、それだけ自分に価値があるような気がする。
 それをこの映画は否定しているわけですよね。金を取ることが大事なのであって、金額が上だったら自分の価値が上がるなんてことは無いと」

事件に対しても、また、整形をしホストにハマりデリヘルの経験をしたうさぎさんに対しても、男性目線と女性目線では見方がものすごく違った。
――「男性は、自分の周りにはあんな女いねーよって。あれは変な女だろうと。特殊な女でしょ、というような見方をする。デリヘルをやって『私という病』という本を出したときも、それはけっこう男の人から言われたの。
 “女がみんなそうなんじゃないかっていう言い方してるけどお前が特殊なんだよ”、みたいなツッコミを多々受けた。
 でも、実際に売春をしていなかったとしても、心の中に、何かそれに似た問題意識を抱えている人は、実は彼らの身の周りに本当にたくさんいるんですよね。それに彼らは気付かない」

――「女であるということは、性的な意味を持つじゃないですか。男性の性的対象であるという。
 映画に「言葉なんか覚えなきゃよかった」という一節が出てきますが、たまたま女に生まれ、生きていくうちに“女”に様々な意味が付いていることに気付かされる。それが足かせになったりする場合もあるわけですが、それを解放していく、というのが「恋の罪」のテーマだと思います。
 ちなみに(園子温監督の前作)「冷たい熱帯魚」は、暴力によって男性が解放されていく映画。一方で「恋の罪」では、女の開放は性にあり堕落にある、というところを描いているのがおもしろかったですね」

「昼間女を封印して働いていると、夜はその封印した女が復讐してくる」という名言も!さらにブルボンヌさんの、「お仕事で女装をして自分の中の女を解放していくと、プライベートでは男性性がにじみ出てくるんです」という告白も!?

この「女の開放、性と堕落」については、
――「私は自分の体を使って(女であることの)意味を探してきた人間だけれども、ただ私は、みんながみんなそれをやらなきゃいけないとは思わないわけ。実際にみんな堕ちろとは言えない。
 その代わりに、映画を観てバーチャルに自分に問いかける、みたいな作業をしていけば良いんではないかと思います」

ちなみに中村うさぎさんは、トーク前に上映されたドキュメンタリー映画『UTAKATA ウタカタ ~ 女王★中村うさぎ「愛のショック療法」』をご覧になっていませんでした。
――「私がやっているのは、自分で自分を解釈してそれを書く、ということなんだけど、他人が自分を解釈している、というのは怖くて観られないの。自分が出たTVも一切観ないんです」

では「UTAKATAその後、みたいなエピソードは何かありますか?」というブルボンヌさんの質問から、トーク後半は中村うさぎさんのデリヘル体験について。
――「デリヘルをやることによって、私の中に埋まってた男性嫌悪みたいなものと、対話をしなくてはならなくなった。一方で、ちょっと男の人と和解できた、ということもありました。男の問題じゃなくて自分の問題だな、って」

――「痴漢やセクハラなんかは非常に不快だけれど、若い女性なんかは、性的に強者なんですよね。そのために男ががんばって飯をおごったり仕事したりする。性的強者であることと社会的弱者であることが、自分の中で共存してしまっているみたいな状態なんですね。
 これを解消するために私は、がんばって働いたりしました。働いて、ある程度の実績を積むことによって、自分の社会的ポジションが上がっていく。社会的強者の部類に入っていく――そうすると、今度は年取って性的弱者になっているわけですね。
 この逆転みたいなものが起きたのが、まさに私がデリヘルを体験した時期で、女としての商品価値が落ちている時だったんですね。それで男の人の気持ちがすこし分かるようになった。若いときはやっぱり傲慢だったんだなと」

トークの最後に、うさぎさんから「今を生きる女たちへ」メッセージを頂きました。
――「“女であること”は、ひとりひとりの中に形を変えて有り、問題として抱えていかなきゃいけないものだと思うので、向き合った方がいいと思うんですよね。
 ある日なにかを突き付けられる、ということを考えたら、普段から女であることの快感と不快感みたいなことを考えて頂けたら、と思います」

そして濃厚なトークタイムは幕を閉じました。これ、トークのほんの一部です。現場では実名も飛び交い?きわどい話題も飛び出すアングラナイト感(※実際は真昼間ですよ)。

知的で、かつ折々に爆笑エピソードを挟んでくださったブルボンヌさんはもちろんのこと、中村うさぎさんのお話は、もちろん著書でも良いんですが、生の声で聴くとかなり圧倒されます。経験と頭脳が生み出す至言の数々…いやこれ大げさではないですよ。なんでしょうね、鋭くて破綻がなくてコンパクト、というトークの基幹部分と、チャーミングな話術、そして豊富すぎる経験・エピソードが、幸せに整っている例が中村うさぎさんでございました。
中村うさぎさん、ブルボンヌさん、そしてご来場くださった皆さま、ありがとうございました。

■記事、出ました。
◎中村うさぎ「自分が出たテレビは一切見ない」と本音吐露(映画.com)
http://eiga.com/news/20111126/14/
◎「男社会で働く女は男装のコスプレをする」中村うさぎが『恋の罪』で語る(サイゾーウーマン)
http://www.cyzowoman.com/2011/12/post_4720.html

■映画「恋の罪」、まだまだ公開中!
http://www.koi-tumi.com/index.html
■映画『UTAKATA ウタカタ ~ 女王★中村うさぎ「愛のショック療法」』公開時の紹介サイト(アップリンク)
http://www.uplink.co.jp/x/log/000171.php
■ブルボンヌさんの「恋の罪」レビューはこちら
http://www.cyzowoman.com/2011/11/post_4603.html
■ブルボンヌさんは、「DNA」という2丁目の人気バーで、金曜夜のバー『Campy! BAR』のママさんをされてます。
http://55campy.blog102.fc2.com/

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mari

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