2019-07-14

梅雨どき散策・芝 このエントリーを含むはてなブックマーク 

月初めに引いた風邪の名残でまだ咳は出るものの、
おととい仕事帰りに立ち寄った
(なぜなら、クライアントさんの目と鼻の先だったから)、
芝の増上寺に改めて行き直したかったので、きのうの午後、また電車に乗って出かけていった。

目当ては4年ほど前にできたという地下の宝物殿。
なんか、抹香くさい気分に浸りたかったんで、
地味な空間を期待していたんだが、
さすが新設なだけあって、こじゃれたロビー(ここでは、ホワイエという)。
だだっ広いスペースに環境音楽が流れていて、巨大な書や絵画も飾られている。

展示は徳川秀忠の御霊屋の模型が中心で、
ほかには狩野一信の五百羅漢図が目玉だったが、
百幅あるところを、随時10幅ずつ入れ替えて展示しているとのことで、
現在展示されているのは、そのうちの七十一から八十の図。
中に、どうも蛸だの伊勢海老だのを頭につけている変な人々が描かれているのがあったから、
なんじゃ、こりゃ、
と思って横の解説をよく読んでみたら、羅漢たちが龍宮に訪れた時の絵だった。
ああ、それで、と納得はしたものの、
蛸や伊勢海老だけならわかるんだが、カワウソや毛虫みたいなのを頭に乗せている龍宮人たちもいて、
こんな毛むくじゃらなものが海中にいるっけ? というのが今も残る疑問
(どう見てもウニの棘々じゃなかった、あれは)。

その後、徳川家の霊廟はすでに閉まっていて拝観できなかったので、
5時からの勤行までにはまだ間があったから、
いったんお寺の外に出て、近くのSeattle Coffee屋に入っていたが、
本堂での僧侶たちのお勤めが始まる頃にまた戻り、
浄土宗信徒でも徳川家のファンでもないのに座席に着いて、読経や目の前の阿弥陀如来像を堪能していたところ、
途中からお唱えの中に盂蘭盆会の言葉が出てきて、
「それでは、前の席の方からお焼香を」
となり、
あ、そういや、門前に十三日から盂蘭盆会、と書いた立て札が立っていたっけ、と思い、
宗派は違うが、そう言われたものだから、と、父方・母方両家分とも供養させてもらってきた。

今年は風邪で寝込んだ分、仕事を減らしたくなくて菩提寺のお施餓鬼に行かなかったし、
考えてみりゃ去年も、やっぱり別の宗派である京都の六道珍皇寺で供養してもらっちゃったし。
別にこのあたりは宗派不問でもいいかもしれない、と思って。

で、その後は傘を差しながら隣の芝公園のほうに行って、
小高い丘のようになっている芝丸山古墳や、その上り道の途中にある円山随身稲荷などに寄ってきたが、
土曜といえども、雨の降る日の夕暮れ時、こんな目立たないところまで足を運ぶ人は少なく、
頂上で出くわした散策者はほんの数人だった。
よって、古墳のほうまで行ってやっと、ほんとうに地味で落ち着いた気分になれたのだった。

雨に濡れて風邪がぶり返すのは怖かったが、
小雨のぱらつく中の散策だったからこそ、
黒く濡れた石段がより美しく、下草の緑がいっそう濃く見えて、しっとりとした風情を感じられたのだと思う。

霊廟の拝観券が残ってしまったからまたいつか行かなきゃな。

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Reiko.A/東 玲子

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“human/cat also known as Nyanko A 人間/ねこ。またの名をにゃんこA”


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