(穂村弘さんの「現実入門」をインスパイアしています)
NYでライブを二本観た。
Texas is the Reasonと
Medeski Martin and Wood。
私は、英語の経験値が低い。
貧乏旅行だったので酒も呑めず(一杯ずつは呑んだが)
ちょっぴり心細く。
救いは何故かドラムだった。
何故ドラムなのか。
エアギターやエアベースをしてもなあ、と。
寂しさと興奮の間で、気づいたら
エアースティックを握って空を斬っていたのでありました。
Texas is the Reasonのライブでは、
クリスというカナダのバーテンダーに声を掛けられまして。
「Texas is the Reasonでは何が一番好き?」
「Blue Boyかな?」
「おー、シングルから来たか!」
「他には何を聴くの?」
(iTunesのリストをスライドする)
「あ!toeは良く知ってる!ドラマーがユニークだよね」
クリスはドラマーだったのだ。
私はなんだか褒められたような気持ちになって、
ハイネケンを奢った。
クリスはニコニコしている。
私もニコニコする。
そう、私は英語経験値が相当低いので、衝動だけで会話をしている。
「・・・・・」
「・・・・・」
目の前では、伝説的なライブが行われている中、
興奮と沈黙の変な関係は続く。
クリスはニコニコしている。
ニコニコしたまま、連絡先を交換せずに別れてしまった。
帰国後、色々足りないことが浮き彫りになった私は、
反射的に「何が生業になるものを勉強したいなあ」と。
リストを作って、出来ることから始めたいと。
その中に「ドラムを習う」というものがあった。
サクマさんは居ないが、一人でやるしかない。
そうだろう、衝動よ。どこかでみている誰かよ。