パーカッショニストである翁長巳酉(おなが・みどり)による、ブラジルの知られざる音楽文化を映像とトークで紹介する人気イベント『ディープ・ブラジル』。
今回は翁長氏の撮影、制作によるDVD『BATERIA2/ストリートサンバ爆裂!』の完成を記念し、同作品の上映を中心としたバテリア特集が開催される。
バテリアとは、サンバにおける打楽器隊全般のことを指し、時には400名といった大編成で演奏が行われることもある。
翁長氏曰く「あまりの非常識な爆音ぶりが最高に気持ちよい」とのこと。
『ディープ・ブラジル』というイベントは「みんなの知らないブラジル音楽を紹介したかったから。商業音楽ではなく、誰もが知っているブラジル音楽ではなく、聞きやすい、おしゃれでかっこいいブラジル音楽ではなく、もっと演奏者を含めたブラジルの社会や環境や生き様が、音楽を通して伝わればいいなぁ」という翁長氏の強い希望があって始まった。
今回発売されるDVD『BATERIA2/ストリートサンバ爆裂!』は、サンバ楽器の演奏法を追った映像や、サンバ自体があまり見られないペルナンブコ州の過激なストリート・サンバチームなどが収録されてるのだという。過激なサンバとは、どのようなものなのか。
「ペルナンブコ州のストリートでは、リオやサンパウロでは絶対やらないことを平気でやっている。テルセイロのスルド(ソロ的な演奏をする低音のでかい打楽器。普通は1本のマレットで演奏)を2本で高速にどどどどどどどと叩いていたり、ジレトール(指揮者)も特にいない中、かって気ままに好きな曲をメドレーで演奏し、メンバーもかってに入ったり出たり…。リオやサンパウロでは、ここまで自由奔放な感じではない。もう驚きました。脱帽。これでいいのだ…なんですね」
翁長氏が「演奏レベルも高く、打楽器を通じての共同体のありかたが、かくも自由気ままで素晴らしい。いい加減のようで厳しく、明るく激しい打楽器人生もいい」とまで言い切る、知られざるブラジルの音楽とその自由な雰囲気をぜ
ひイベントで多くの人に体感してもらいたい。
■『ディープ・ブラジル-バンデイロ・ブラジルレイロスVol.2』
-STREET SAMBA!! BATERIA 2」DVD発売記念上映会-
出演:翁長巳酉(おながみどり)
日時:8/2(土)18:30開場/19:00開演
料金:¥2,000(1ドリンク別)
場所:アップリンク・ファクトリー
■翁長巳酉(オナガ・ミドリ)プロフィール
沖縄出身。80年代に「暗黒大陸じゃがたら」「CHICA-BOOM」に在籍。
その後90年~2002年ブラジル在住。サンパウロ・リオのサンバチームで10年間バテリアでカーニバルに出場。演劇「Dragon 7」の伴奏でポルトガル、カーボ・ベルデ、フランス公演。MPBの「A Quatro Vozes」でキューバ公演。
ブラジル各地の伝統芸能の収集を始める。帰国後、板橋文夫グループでジャズフェスなどで共演。2005年にはチュニジア、モロッコ公演を行う。おおたか静流氏のCDに参加。NHKの日本語で遊ぼうの「ぴっとんへべへべ」にボディパーカッションの振り付けを行う。
ジャズミュージシャンのアケタ氏のオカリナオーケストラで韓国公演。
2006年から、日本に知られてないブラジルの伝統芸能やアフロブラジルのルーツ映像をみずから撮影編集した「Deep Brasil」シリーズが大好評。2008年は明治大学や浜松楽器博物館、国際フォーラム、佐渡のアースセレブレーションなどで、上映や講座やライブを行う。