2012-06-19

2011年春、たしかに列島は沈黙していなかった このエントリーを含むはてなブックマーク 

3.11から1年あまり。この間、かつてないほどの「震災」関連映画が生み出され、「原発」関連映画が世に放たれた。
その中には、2011年の日本でしか撮りえない、時代の空気を濃縮した作品も少なくない。

『沈黙しない春』は、まさにそういった作品。この国でかつてないほどの「反原発デモ」といううねりが自然発生的に沸き起こり、結果、浜岡原発停止という政治的判断にまで行き着いた、稀有な1か月半の運動の記録である。

東北人は、日本人の精神性を象徴する民族に思える。寡黙で我慢強い。長く厳しい冬がそうさせた、との説もよく聞くが…今回の震災でも押しなべて「沈黙する人々」だった東北人が、その耐え忍ぶ姿をもって全国の人々を饒舌にさせた、その功績は大きい。
普通の人々が、身の危険を切実に感じた結果、自発的に声をあげはじめた。安保闘争も学生運動も体験していない私にとって、そんな光景は実は初めて見るものだった。

5年後、10年後、20年後。はたして日本人が“物申す民族”に進化しているかどうかはわからない。ただこの映画が「そんな季節がたしかにあった」と後世に伝える役割は、決して小さくないだろう。
7/7より、本作はアンコール上映されるという。三宅氏をはじめ、人々の訴えをしっかりと焼き付けておきたい。

キーワード:

浜岡原発 / デモ


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青木ポンチ

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青木ポンチ

“株式会社スタジオポケット所属の編集・ライター。 【Twitter】 http://twitter.com/studiopocket”


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