手に入れる方法は二つある。
ひとつは、若いうちに死んで人々の胸にその美しいうちの姿や名前を刻みつけること。
もうひとつは、スターとなって人々の目の前で生きながらに光り輝くこと。
ここにはその二つの道の間で揺れ動く少年の姿が描かれる。
少年はそのどちらの道へも同じように魅かれている。
生まれた村から一歩も外に出たことのない少年にとって、
死の世界へ旅立つことも、村の外へと出ていくことも、
異界に足を踏み入れることに等しい。
異界からの使者は常にネットを通して立ち現れ
――少女の姿をしていたり、ミュージシャンの姿をしていたり――、
どちらも手が届きそうでいながら手が届かない。
近くにいるようで、やはり近くにいない。
すべては靄に包まれているかのようにあいまいで、少年の思考を鈍らせる。
やがて、一人の生身の男が目の前に現れる。
彼は少年をどこかへ連れていこうとするが、果たしてそれはどちらの世界なのか…。
男に導かれるまま村のはずれまで行った少年が最後に自分で選んだ道は?
というのが、私から見た『名前のない少年、脚のない少女』ですね。
本日を含めていよいよあと三日、UPLINK Xにて26日(金)までです。
エズミール・フィーリョ監督interview
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