【ここに書いたことは訂正します。
接骨院というのはいいところだとこの時は思ったけれど、そう思ったのは間違いだった。
皆さん、なにはともあれやっぱり最初は、整形外科でレントゲンを撮りましょう。
なにがどうしたんだ、と思った方は、21年4月30日の私の日記を読みましょう。】
ところで、今回負傷したのにあたって、整形外科ではなくて接骨院に行ったのは、
liveをしたViolonのマスターにいいところだと勧められたからで、
これまで接骨院に一度もお世話になったことのなかった私は、
「でも、それってどうやって治すの?」
とか聞き返したものだった。
しかし、翌朝になったら、痛くて細かいことは考えていられず、
ともかく勧められたとおりに、そのマスターが「いい」と言った接骨院によろよろと歩いていったのだった。
たどり着いてみたら、先生はちょうど施術台に向かって椅子に座り、
横になっている患者さんの頭を、頭側から両手で抱えてなにやらしているところだったけど、
しばらく待ち合い所の椅子に座っていたら、
なんだか和気藹藹(わきあいあい)としたところで、
まるで近所の年輩者たちの寄り合いみたいになっているのがすぐわかった。
だって、通い猫にその場でエサやってたり、ユザワヤに生地を買いに行った話をしたりしていて、
先生もいっしょになって、施術しながらおしゃべりに興じているんだもの。
しかもその内容は、近所に新しくできたお店だとか、神社のお祭りのことだとか、かなりローカル!
で、この50代と見受けられる男の先生は、だじゃれが好きなようで、
しょっちゅう来院した人に向かってだじゃれを飛ばしてるんだけど、
私にはしばらくの間、なにも言わなかった。
そのことを私は不自然だともなんとも思っていなかったが、
通って五日目だったか六日目だったかぐらいに、施術台の上で施術してもらっていた時、私が、
「もー、食欲なくなって(当初、頑張っても豆腐やトマトぐらいしか口に入らなかった)、ちょっと味が濃いともうだめみたいで、紅茶も飲めなくなって、ほんと過敏になっちゃって……」
などとぼやいていたら、
「かびんですか、じゃあ花を飾るといいですね」
と言われて、
「花?……ああ、今(療養するんで)うちにいるから?」
と聞き返したら、
「まじめに考えなくていいです」
と返されたので、やっと、「過敏」を「花瓶」にかけただじゃれだったことに気がついたのだった。
で、笑ったら、
私が来た時、あんまりようすがひどかったんで、
だじゃれを言ったらイラッとされるかもしれないと思って今まで言うのをこらえていたんだそうだ。
そんなことで、私、怒ったりしないのに、っていうか、怒る気力も皆目なかったと思う……。
それで、負傷した当初は寝返りを打つだけでも、
ぐえー、とか、ぎょえー、とか言いたくなるぐらいの痛さだったんだけど、
そこまで痛いのは急性期の最初の三日間ぐらいだ、というのが先生の見立てだったのが、
ほんとうにそのとおりであったのには、さすが専門家! と感服した。
これがもし整形外科の先生だったら、
骨折していないのを本人が感覚的にわかっていても、
「はい、レントゲン!」「うん、骨折はしてないね」「じゃあ、湿布薬出すから、特に痛みがひどくならないようならまた一週間後後に来てください」
とか言うだけで、大したケアもしてくれないし、
少しよくなってきたところで自分でマッサージするように言われても、
マッサージの仕方をきちんと教えてもらえるわけでもないから、どうしたらいいのかよくわからない。
そもそも、ああいった診察室で、
互いに向き合って椅子に座って問答をするっていうあの診察スタイルに限界があるんじゃないか。
しかし接骨院だったら、先生にじかに手を触れて治療してもらうことができて、
施術台の上に横になりながらやるべきストレッチを教わることもできる。
で、家に帰ってきて自分でやってみて、
あれ、こうだったっけ? ここ、なんかおかしくない? と思ったら、
翌日また行った時に、施術台の上で教え直してもらうこともできるのだった。
それに、日によって変わってゆくこちらの訴えにもきちんと耳を傾けてくれて
(先生、今日はここが痛い、とか、こっちのほうがもっと痛くなってきた、など)、
それに沿って、ていねいにマッサージや指圧をしてもらえる。
むろん接骨院もピンからキリまであるだろうけれど、
私は今回、マスターのアドバイスどおりにこの接骨院に来て、
ほんとうによかった、と心の底から思ったのだった。
なによりも毎日診てもらえることに、とても安心感があった。
今後もなにかあったらまたここに来たいと思う。
みんなも、よほどの重症ではなかったら(大出血してるとか)、
まずは整形外科よりも、接骨院で診てもらうのがよいのではないかと思う。