うちに帰ってきたら、
蚊らしきものが冷蔵庫の上でつぶれたようになって死んでたり、
イエグモが畳の上でころっと引っくり返って死んでたりした。
私がいない間になにがあったのか……締め切った部屋の中での暑さのせいなのかな……。
さて今日、仕事の合い間にふらっと入ったギャラリーにいい絵があった。
なので、例によってしばらくの間じーっと見ていたが、
仏像らしきもののシルエットで、
顔もよくわからないし、衣服のひだひだ具合なんかも当然わからない。
でも、もしかしたらなんとか菩薩とかいう特定の仏像を描いたつもりかもしれないと思って、
その場にいた画家に聞いてみたら、
訪ねたお寺かなんかで案内されたお蔵だかに、
飾っていない仏像がいっぱいあって、そのうちの一つを描いたんだそうだ。
だから画家は見たまんまに逆光の中に立つ仏像を描いたのであって、
わざと顔がわからないようにしたわけではないんだけれど、
そのおかげでよけい存在感が増し、神秘的な雰囲気の漂ういい絵になっていた。
ふだん誰の目にも触れられず、顧みられもしない仏像でも、やはり宿っているんだね。
画家のお名前は山田千代一さんといった。
うちに置いて毎日眺めていたいような絵、というのとはちょっと違ったけれど、
いずれにしても85万円、手の出せる値段ではなかった……。