悶々と悩み続ける主人公たちを見て、
アニメはやっぱり若者が見るものなのかのう、
という気にもさせられた映画だったけれど、
「若い人に向けて作った」という押井守監督の言葉を後で知って納得。
しかもこれ、分類上は近未来ウンチャラではなく、
ラブストーリーになるのだそうです。
ああ、そう…(そうやって、見るものなの…)。
というわけで、はでな空中戦ももちろん、そのアニメ技術もろとも見所のはずなのだけど、
これをひたすら恋愛ものとして見るのなら、
これに感動できた、もしくはこれについてもう少し考えてみたいという若者は、
萩尾望都の『A-A'』も合わせて読まれるといいでしょう。
4半世紀以上前の作品ながら、同じテーマ、いや、モチーフを使っているからです。
そして、『A-A'』の最終ページで、
初めて人前で涙を流すことのできた、
改良人種アデラド(ゆえに感情表現べた)の気持ちがわかったら、
この映画のヒロインのぶあいそでつっけんどんな
(それでこそ魅力的だということはよくわかるのだけど、
実際にはあまり蔓延してほしくない典型的な陰性キャラタイプ)
笑顔ひとつ見せなかった草薙水素(スイト)が、
最後に笑顔を見せて他人に向き合えた理由もわかるでしょう。
まあ、テーマ的には年寄りが見てもあまりおもしろい作品ではないかも知れませんが、
いくつになってもここに出てくる登場人物たちのように、
コミュニケーションべたな人が多い昨今だし
(それはつまりは、相手のことより自分の心配ばかりしている、ということなのよ)、
押井守にしてはかなりわかりやすいほうでしょうから、
アニメ好きな人は見に行ってもいいんじゃないでしょうか。
にゃんこ的には、彼らが舞う(いや、タイトルからすると、はう?)青空よりも、
夕焼けのほうが美しかったです。