にゃんこはなにか事件が起きた時に、
被害者に向けてたかれるフラッシュが嫌い。
被害者や、被害者の遺族(場合によっては加害者の家族)
に向かって突きつけられるマイクも大嫌い。
むろん、事件を伝えるために
写真を撮るのは重要でしょう。
そして、ゆくゆくの事件の解明のためにも、
関係者の意見を聞いておく、ということも重要でしょう。
でも、多くの報道はそうではない。
なるべく公正・中立を心がけなければいけないNHKだってそうではない。
こんな悲惨なことが起こりました、と言って、
いたずらに視聴者の涙を誘い、犯罪者への憤慨を煽っているだけ。
特に、非道な犯罪が起こるたびに、
亡くなった方の生前の姿をヴィデオで流すことはやめてほしい。
そうやって、こんな「りっぱな」「すてきな」「明るい」
若者の/子供の未来が奪われてしまったって強調しても、
その先に待っているのは、
そのような行為をしでかした者への、
集団による憎悪の増加だけでしょう?
もちろん、被害者と直接関係のある人たちが、
マイクに向かって涙ながらに「許せない」と訴える気持ちもわかるし、
とても他人事とは思えないと言って、
今、秋葉原の献花台に足を運んでいる人たちが、
口をそろえて、「許せない」と言うのもわからなくはない。
でもね、それといっしょにそのニュースを見ている人たちまで、
「許せない」とか「ひどい」とかだけ言ってしまっては、
犯罪を犯した者をただ糾弾するだけで、犯罪自体はいつまでたってもなくならないんだ。
それではいつもの、集団によって異端者を排除するダイナミクスに巻き込まれていくだけ。
そのような行為を犯した者を異常と決めつけて排除する前に、
どうしたらそのような行為を犯すまでに至ったのかを、
それぞれができるだけ考えてみなきゃ。
だからテレビのニュースは、
みんなの涙をそそるような変な演出はやめてほしい。
これがひどい事件だってことは、もうみんな十分わかっているのだから。
みんなの持っているあたりまえの感情につけ込んで、
一人の人間を追い詰めるような社会は、これ以上大きくしないでほしいんだ。