平日なのにこの混みっぷりはなに? と言いたくなるような混み合い方。
こりゃ、とても土、日には来る気にはなれませんね。
しかし、軽く10年は来ていなかったような気がするんだが、まったくよそに来たという気がしない。
それもそのはず、高校はここからわずか4駅の所にあったので、
学校帰りや、休みの日には実によく通った地なのだった。
近代美術館があるし、美術館のある鎌倉八幡宮のお茶室ではお茶を点てることもあるし、
鎌倉霊園に眠っている人もいるし、初デートの場所だったり、初ナンパの場所だったり、
と、実に実に私にとってはなじみ深い土地。
そのせいか、ずい分とお店が変わって、やたらとパワーストーンを売る店が増えたなと思っても、
奇妙なほど違和感を感じないのだった。
今は東京で暮らす私には(で、こっちがほんとの生まれ故郷)、
やっぱり故郷と感じられるところが二つあるらしい。
そして、八幡宮の蓮池の前に立つと、あの頃の気持ちを思い出してしまう。
この蓮池は、冬の間はなんにもないのに、
初夏になるとあっという間に葉が生い茂ってにょきにょきと伸び、その先に巨大な花を咲かせるのだった。
当時の私は、その生命力に圧倒されていた。
とはいえ、蓮池というものはどこもそういうものだがな……。
境内の中にあった稲荷の社に登っていったら、社の前で外人カップルが二人の世界に浸り切ってべったりとキスをしていた。
いいけど、お参りしたんかいな。