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日程2008年12月24日
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時間19:30
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会場pit 北/区域
ダンサー江藤由紀子は、首を切り落として登場してきた。あの夭折の天才画家モジリアーニが丁度人間の両目を灰色に塗りつぶしたように、個性を剥奪することでより自分自身の深部に到るための、そのトルソー的ダンスは、昆虫や動物と同じ地平における人間存在そのものの衝迫性に迫ろうとしているともいえるだろう。そして本人はあまり意識せずにセルフ・エクスプレッションを超えた表現の領域に踏み込んでいて、その視覚性における他者性を取り込み、存在の時間化つまり存在の内側から光が差してくる可能性のある<遅延>という重要なエレメントに気づいているようだ。ダンスすることをあらかじめやめてしまったダンスがここにはあり、いままさに21世紀における<存在のダンス>が始まろうとしているのだが、踊ることをはじめて3年目にしてこの地点にいることは実に驚嘆に値する。
ところで、いま彼女は首が生え始めてきて少し困っている、それで脱皮しようとしているようだ、これから脱皮して人間になるのか、それとも虫になるのか、あるいはそれ以外の何者になるのか、彼女も私も誰も知らない。 (岡村洋次郎・東京バビロン代表)
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