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日程2010年07月18日
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時間14:00
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会場栄区小菅ヶ谷1-2-1
19世紀半ばに写真が発明されてから、多くの戦争写真が撮影されてきた。それ以前は、実際に戦場で戦っていた兵士以外の多くの人たちにとって、戦争は遠い国のあまり実感のない出来事だったのではないだろうか。写真はそれを、誰もが恐怖の感情を抱いたり、愛国心を高揚させたりする、生々しい出来事として伝えることができた。特に20世紀になって、フィルムや小型カメラの発達によって、生と死が交錯するダイナミックな場面をいきいきととらえることが可能になると、戦争は急速に部数を拡大していたヴィジュアル雑誌や新聞の最大のテーマの一つとなる。こうして、多くの写真家たちが戦場の最前線に赴いて大量に写真を撮影するようになった。
それがピークに達するのが第二次世界大戦時で、今回展示されたロバート・キャパ、ユージン・スミスの写真はその代表的な仕事である。また戦後の状況を撮影したジョン・スウォープや三木淳の写真は、不安と怖れと解放感とが入り混じる人々の複雑な表情を見事にとらえている。これらは貴重な歴史的資料であるとともに、一人の写真家がぎりぎりの極限的な状況に全身全霊でかかわった、勇気あふれる行動の記録でもある。これらの写真が撮影されてからもう60年以上が過ぎ、戦争の記憶も薄らぎつつあるいま、もう一度写真家たちが何を、どのように見つめたかを検証することはとても大事なことだと思う。それは単に過去を懐かしみ、回顧するだけではなく、未来に向けて彼らの意志を受け継いでいくことにつながるはずだ。
(飯沢耕太郎)
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日時:2010年7月18日(日) 14:00から
会場:あーすぷらざ・映像ホール
神奈川県横浜市栄区小菅ヶ谷1-2-1
JR根岸線・京浜東北線 本郷台駅 徒歩3分
http://www.k-i-a.or.jp/plaza/
聴講無料
このトークイベントは、現在開催中の写真展「微笑を浮かべて 『ライフ』報道写真家が捉えた戦争と終戦 ~ロバート・キャパ、ユージン・スミス、ジョン・スウォープ、三木淳~」(あーすぷらざ・企画展示室)の関連企画です。