骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2009-06-19 14:00


「映画が撮りたかった」からではなく「ひと」を記録したかった―『スティル・アライヴ』クロスレビュー

「喜びとそれ以上の苦しみの中で映画制作に向かい合っていた、その切実さがリアルに伝わってきた」―キェシロフスキの貴重なドキュメンタリーが6/20より公開
「映画が撮りたかった」からではなく「ひと」を記録したかった―『スティル・アライヴ』クロスレビュー
(C)TELEWIZJA POLSKA S.A. 2009

『トリコロール』三部作、『デカローグ』『ふたりのベロニカ』などの傑作を遺し、その芸術活動の絶頂期に54歳という若さで急逝したポーランドの巨匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督。その軌跡をたどるドキュメンタリー映画『スティル・アライヴ』と、貴重な初期未公開作品を初公開するとともに、人間の「感情」と様々な「愛」のかたちを見つめ続けたその作品群が、ユーロスペースにて一挙特集上映される。

『スティル・アライヴ』はクシシュトフ・キェシロフスキ監督の没後10年を記念して作られた、キェシロフスキの映画作りに関する記録映画。学生時代に始まるドキュメンタリー製作から、ドキュメンタリーとドラマの混在、ドラマへの移行に至るまで、20数本に及ぶ作品について、キェシロフスキ自身の貴重な声、スタッフ、友人らが証言を行う。

still alive

アニエスカ・ホランド、イレーヌ・ジャコブ、ジュリエット・ビノシュといったキェシロフスキ監督とゆかりのある映画監督や女優たち、キェシロフスキ作品を支えた作曲家ズビグニェフ・プレイスネルと著名な弁護士で脚本の共作者でもあったクシシュトフ・ピェシェヴィチらが登場。キェシロフスキの映画作りに対する想いや素顔が垣間見られる貴重なドキュメンタリーである。
(このドキュメンタリー作品のタイトルは、英語での挨拶“How are you?”に対してキェシロフスキがきまって“Still alive.[まだ生きてるよ]”と答えていたことによる)


【『スティル・アライヴ』よりコメント】

スティル・アライブ

■ヴィム・ヴェンダース

映画とは目に見えて 触れるものを描くもの
それが大切と思ってた
だが 見えないものを描くことが美しいと 彼の映画で学んだ
とくに遺作となった『トリコロール』三部作で 彼は実践的で皮肉な唯物論者だったが
最後には 本当のヒューマニストになった
目に見えぬものを写していたのだ


■ジュリエット・ビノシュ

キェシロフスキに「ありがとう」としか言えなかった。



『スティル・アライヴ』
クシシュトフ・キェシロフスキ監督特集上映”キェシロフスキ・プリズム”にて公開
2009年6月20日(土)よりユーロスペースにて開催(他全国順次開催)

監督:マリア・ズマシュ=コチャノヴィチ
2005年/ポーランド/82分
提供・配給:ワコー/グアパ・グアポ
★6月27日(土)トークイベント開催(『スティル・アライヴ』18:45上映終了後)
和久本みさ子(映画評論家)×関口時正(東京外国語大学大学院 ポーランド文化論教授)
※上映日時詳細は公式サイトにて

レビュー(4)


  • Popeisさんのレビュー   2009-05-02 06:12

    キェシロフスキとは?

    トリコロール、デカローグ、二人のベロニカで著名なキェシロフスキの軌跡を辿る映像「スティルアライブ」を見に行った。 6、7月に特集上映が組まれその中にこの作品も公開されるようである。キェシロフスキをまだ見たことない方や興味をお持ちの方がいれば一見の価...  続きを読む

  • みかん星人さんのレビュー   2009-05-02 10:55

    キェシロフスキ。。。だったのか

    実は、ずっと、「キシェロフスキ」だと思っていた。 こうして綴ってみて、改めて「キェシロフスキ」なのだと分かった。 なにを隠そう、映画好きを自負する私だけど、キェシロフスキの作品をちゃんと観てはいない。 この試写に際して『ふたりのベロニカ』をちや...  続きを読む

  • くり助さんのレビュー   2009-05-03 12:41

    視ること

    十数年前、ロンドンでキェシロフスキ監督の映画を数本観た。「愛に関する短いフィルム」、「二人のベロニカ」、「トリコロール/赤の愛」など。印象的だったのは、どの映画でも、誰かしらが何処かしらで、覗き見をしていることだった。どの映画でも、登場人物が小さな隙...  続きを読む

  • tomokoさんのレビュー   2009-05-04 00:04

    キェシロフスキ その創作の軌跡

    「デカローグ」「ふたりのベロニカ」「トリコロール」という珠玉の作品群を残して、 54歳という若さでこの世を去ってしまったクシシュトフ・キェシロフスキ。 キェシロフスキの映画を見て、一度でも心動かされた人ならば、 「彼の映画に、何故あれ程の深...  続きを読む

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