2014-10-11

広告に命をかけるクリエイターたちに共感。ガエル・ガルシア・ベルナル主演・映画『NO』 このエントリーを含むはてなブックマーク 

広告が政治を動かす…日本ではどうなのかはわからないけれど、アメリカの大統領選では、TVの名プロデューサーや、演説の文章を書くスピーチライターがバックについて選挙全体を演出している、というのを聞いたことがあります。

さて、この映画は、1988年のチリで実際に繰り広げられた、国民投票に向けての一大広告キャンペーンのお話。

当時政権を握っていたのはピノチェト将軍という人物。独裁政治を行う彼の信任を問うべく、支持派のYESと反対派のNOの陣営に分かれて、一日15分間のCM合戦が行われたそうで、その舞台裏が描かれています。

ガエル・ガルシア・ベルナルが演じるCMプロデューサーのレネは、NO側のキャンペーンを手掛けることになるのですが…。

このCMの結果によって、国の将来が左右される…それは、ふだんは商品が売れるための広告をつくっている人間にとっては、とても怖いこと。

成功しても、わずかばかりの不安は残るに違いありません。新政権後、国民は本当に幸せになれるのかどうか…と。

ところで、過去に広告会社で働いていた人間としては、どこの国でも広告をつくるときは同じなのだな、と、この映画を観ていて思いました。

チームを組んで、意見を出し合う。ときに、場所を変え環境を変え。ときに、クライアントから反対され…。クリエイターと呼ばれる人間は、プライベートの時間でも常に考え続けます。

どうすれば、多くの人の心に刺さる広告をつくることができるか?

自分の生活にまで仕事が入り込み、その境はないですし、オンとオフをきっちり分けられるものでもないです。とにかくそのときの自分の生活も環境も含めて、すべてを集中させる…。

そして、短い言葉に、映像の中にすべてを込める…
その情熱は、広告に携わっていない人たちにも伝わるはずです。この映画に登場するクリエターたちはみんな、命をかけています。

忘れてならないのは、レネと仕事上で敵対することになる上司との関係。その上司はレネとは反対のYES側を担当していはいても、同じ業界で働いているからこそ、レネを思いやっている部分があり…。

そういったところも、物語に織り込まれていて、そのワンシーンにはホロりとさせられます。

追記:
この作品のドラマ部分は、劇中に挿入される当時のアーカイブフィルムとの間に差を感じさせないようにするために、ビンテージカメラで撮影されており、HD映像が主流の時代にあってはとても新鮮でした。

それも、見どころの一つですね。

http://www.magichour.co.jp/no/

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tairakuk

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