このクリスマスにファクトリーでイベントを行うのでピエール・バルーさんに会って来た。
詳しいインタビューは既にアップされている「骰子の眼」のインタビューを読んでもらうとして、話の中で一番印象に残ったのは、45年間インディーズレーベルであるサラヴァをプロデュースして来て一番興味のあるのは「今」だと意見。
安室奈美恵の新作のタイトル風に言うならば「Past<Present>Future」というところだろうか。
過去は変える事ができない、未来もまだ起きていない事。過去の経験を経て、未来を作る事ができるのは「今」やっている事、と思っているので僕も今にしか興味がない。
記事には掲載されていなくて僕が聞いた質問は「アーティストをプロデュースするとき何を一番重要視しますか、その才能ですか、その人柄も考慮しますか」という質問に即座に「私はその才能にしか興味がない」と答えた。でもその後すぐに「うーん、才能を信じてプロでユースしてもね….」と苦笑い。ピエールのパートナーである潮田敦子さんがすぐ彼の言葉の後を継いで「新人アーティストはレコーディングしてあげるという何でも言う事を聞くけれど、売れてくるとわがままになり、全部自分の力でできたと思い、サラヴァから去っていくのよ」と言った。
「ラジオのように」を唄ったブリジット・フォンテーヌ事かな?
取材に同席していたジプシー音楽の研究家でもあり大学で音楽ビジネスを教えている関口義人さんも「人柄なんて関係ないですよ、音楽ビジネスをやるなら才能だけを見ないとだめですよ」と言う。
そこで僕は「先日、新代田のライブハウスFEVERを作った西村さんに話を聞いたら、彼は音楽がどんなに良くても、いっしょに飲んで話ができないとブッキングしないそうですよ」と反論し「僕もプロデューサーとしては才能があるだけではその才能に惹かれても一緒に仕事をしようとは思わないし。才能があってその人の人間性に対してリスペクトできないとだめだけどな」と言ったら、関口さんに「それは甘い」と一蹴されてしまった。
僕は映画を買い付ける時も、これまでも作品とは別にその監督の人間性を重要視している。だから海外に行っても監督と接することがないマーケットよりも映画祭で舞台挨拶を見るなりして最後の判断をするようにしている。作品のために僕らは配給や宣伝の仕事を必死で行うが、それを作り出した監督との人間的信頼関係がないとできない仕事だと思っている。
でもビジネス=金儲けとしては確かに甘いのかも知れないが….
でも、サラヴァがビジネスとして成功しているかというと違うし...
イベントは12月23日、24日 アップリンクファクトリーで
◎インタビューとイベント詳細
パリからブラジル音楽を広めて45年、ピエール・バルーはメディアにおもねらず、世界中に音楽と映像の種を蒔き続ける
http://www.webdice.jp/dice/detail/2163/