2009-10-16

『戦場でワルツを』 多くの人に観て欲しい映画 このエントリーを含むはてなブックマーク 

元兵士であるアリ・フォルマン監督が、自身の経験を基に製作した
自伝的なドキュメンタリー・アニメーションです。
監督は「失われた記憶を表現するには、実写よりアニメが適していた」と
去年のカンヌ映画祭で語っておりました。

そして今年のアカデミー賞では外国語映画賞の本命視されておりましたが
「おくりびと」に敗れたことでも映画マニアの間では良く知られていると思います。

そんな本作は
主人公のアリ(監督自身)は戦争に関する記憶がなく、真実を知る為
かつての戦友から話を聞き、己の欠片を拾い集めるのです。
彼が、記憶をなくしてしまったのは、まだ19歳で未熟な兵士だった彼は
自らが悪の側にいることを、はっきりと認識していた。
イスラエル軍の制圧下にある難民キャンプで
レバノンのキリスト教の右派の戦士達が女、子供、老人であろうが
見境無く何千人もを虐殺した出来事を目の当たりにしたことで
彼の心は、その記憶を封印してしまったのです。

イスラエル人である監督が、この出来事に勇気を持って対峙し
独自のアニメーションで描いているのです。
半分はドキュメンタリーなタッチである事もありますが
非常に大きな衝撃を受けました。
自分自身、この大虐殺と言える出来事をこの映画を知るまで
まったく知りませんでした。

監督は19歳の当時は現実を受け止めることができず、記憶を封印することで
自分自身を保ってきたのでしょう。それをこの作品を作ることで
過去を知り、20年以上経った今、何を感じたのでしょうか。

謝罪的な内容とは言えないが、イスラエル人が戦争を反省しているということを
真正面から描いたのは、勇気ある行為だと自分は思います。
戦争とは愚かな行為だと、現実を見たことの無い自分達は学校で教わり
当たり前だと考えていますが、何故だかいつまで経ってもこの世界では
絶えることなく戦争は世界中で行われ続けているのです。
この作品が世界中で注目されてる最中の昨年末にも
イスラエルによるガザ侵攻がありました。
平和とは何か、戦争とはいかに愚かな行いかを改めて
考えさせられる、重みある作品でした。

娯楽作品とは反対に位置する作品ですが、多くの人に観て欲しいと思った作品です。
(点数:80点)

キーワード:

戦場でワルツを


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kusukusu2812

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