モロッコ人の両親のもとに生まれたドゥーニャと生粋のオランダ人のデイジー。育った環境も性格も対照的な2人だが、大親友。
性格が正反対なのに、妙に気が合う女子の親友っていますよね。自分にないものに惹かれるっていうのか、この手のストーリー
は妙に女子心をくすぐります。しかし、ただ単なるロードムービーではなく、メッセージ性も含まれてます。
思春期における人生の選択、友情、母娘の物語、そして文化・宗教の違いから共生に至る道まで、
本作は移民を歓迎する文化のマイナス面、アイデンティティーの喪失や、逆に作られてしまった人種・宗教の壁など
シリアスで難しい問題を扱ってもいます。しかしユーモラスでポップに描かれているので全く重苦しくないのです。
オランダの抱える問題をこの映画で初めて知りました。
この映画では2人の成長の過程が楽しめます。オランダでは移民として扱われ、モロッコではオランダ人として扱われ、
両者の価値観や文化の狭間で揺れ動いていたドゥーニャが、自分のルーツに目覚めるくだりがいいです。
社会人になる前に誰もがぶつかる壁、自分探し、幸せとは何か?この先どうすればいいのか?と思うなかで
相手も認め、共存していくことを知るのです。
かけがえのない親友を持つことは難しいですが、お互いの痛みを分かち合えるほど意見をぶつけ合うことができる
この2人のような関係は共感できます。誰しも人の境遇を羨むことが多い昨今、映画を見終わったあとは
自分の生き方も肯定できると思えるような前向きな気持ちになれた作品です。
さらにこの映画はビビッドな色彩あふれるエキゾチックな舞台背景も魅力です。
普段あまりお目にかかれないカサブランカやマラケシュの街の風景も普段みることが出来ないので、楽しめます。
ガールズムービーとして最高にキュートな映画です!