こんな映画、観たことなかった。
夜通し、たゆたっていたい、そんな気分。
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…と、そのまま幾日もココロをかっさわれたまま。
同時代を生きている人が、
その人の人生でぶつかって表現している作品を受け止められる幸せ。
監督さんだけじゃなくて、俳優さん、
そしてこの映画の制作とは違うところで動いていた営みまでも引き付け、
完璧なまでの交差があって、初めて成立していて。
描きこまれる一つひとつは、ときに痛々しいほどなのに、
繭玉に包まれている、優しい光にくるまっているような気持ちになる。
紛れもなく、それは自分たちの物語であり、、
今、この日本に福音というものがあるとすれば、
それは、この映画が出来上がったことなんじゃないかな、なんて思う。
あー、誰彼となくススメたくなる映画。
なんの気構えなく、ふらり、出かけてみてほしい。
かくいう私が、橋口監督の渾身作、観たい!という気持ちの一方で、
観る覚悟を問われるような、
そして何より人がバランスを崩していくのも泣き叫ぶのもやっぱり見たくなくて、
結構意気地なしの私は、6月公開以来、
映画を観るタイミングを何となく逸してしまっていたのだけれど。
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梨木香歩さんのエッセイ集、新潮社刊「ぐるりのこと」、
タイトルの件については、一言書き添え。
橋口監督サイドの事務所側なんなりが、
もっときちんとしないといけないことなんじゃないだろうか、しっかり!!