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投稿者:東澤俊秀


1月

28

終了「川瀬陽太の映画鑑賞部」第一夜(ゲスト:福居ショウジン、高橋ヨシキ)

ロッテルダム国際映画祭で絶賛と非難を巻き起こした福居ショウジン監督の問題作がアップリンクファクトリーに登場!

  • 日程
    2013年01月28日

  • 時間
    19:30

  • 会場
    渋谷UPLINK FACTORY

映像企画・制作・上映集団ホネ工房からのお知らせです。

1月28日(月)、アップリンクファクトリーで開催される「川瀬陽太の映画鑑賞部」第一夜にて福居ショウジン監督の『ラバーズ・ラバー』が上映されます。

『ラバーズ・ラバー』は、瀬々敬久監督作品や富田克也監督の『サウダーヂ』など様々な話題作に出演し、メジャー/インディの垣根を超えて活躍する俳優・川瀬陽太さんの主演デビュー作。
今回の上映では、福居監督、川瀬さん、そしてゲストに「映画秘宝」アートディレクターであり、小説家、脚本家、監督、テレビ出演と多岐にわたる活動で活躍中の高橋ヨシキさんをお迎えしてのトークも行われます。どうぞお楽しみに!

「川瀬陽太の映画鑑賞部」第一夜(ゲスト:福居ショウジン、高橋ヨシキ)
会場:渋谷UPLINK FACTORY
日時:1月28日(月) 19:00開場/19:30開演
料金:¥1,800(1ドリンク付き)
上映作品:『RUBBER’S LOVER』(1996年/35mm/B&W/4:3/90分)*プロジェクター上映
監督・脚本・制作・編集:福居ショウジン
出演:川瀬陽太、奈緒、齋藤聡介、国広ミカ、ジーコ内山、飴屋法水
トーク出演
福居ショウジン(映画監督)、高橋ヨシキ(デザイナー/ライター)、川瀬陽太(俳優)
http://www.uplink.co.jp/event/2013/6258

■『ラバーズ・ラバー』作品解説
狂気をはらんだ映像と、爆音とも言える音の連続が本能を覚醒し、見る者の奥底から今まで意識しなかった感覚を呼び出していく―。
『Pinocchio√964』に続く福居ショウジン監督の長編第二作『ラバー・ラバー』は、第2の皮膚ともいえるラバーコスチュームの着用とノイズにより、新たな力を覚醒させた一組の男女が、自己を再認識していくとともに、極限まで昇華された愛の姿が顔を覗かせるさまを描き出し、ロッテルダム国際映画祭に出品された際には、上映後に絶賛と非難が会場を渦巻いた。
出演は、本作が俳優デビューとなった川瀬陽太をはじめ、東京グランギニョル、M.M.M.、テクノクラートなどの集団を率い、演劇、パフォーマンス、アートの世界でつねに最前衛に立つ飴屋法水、東京グランギニョル、M.M.M.に参加していた斉藤聡介、その多彩な才能と特異なキャラクターで異彩を放つ、周防正行監督『ファンシイダンス』(89)、塚本晋也監督『鉄男2』(91)のジーコ内山、コシミハルのコンサート等にパフォーマーとして参加していた国広美香など。
美術は、メルツバウのメンバーでもある坂井原哲生。音楽は、CX『ウゴウゴルーガ』に音楽として参加し、アート、デザイン、DJ、そして松蔭浩之らとの音楽ユニットなど、多彩な才能を見せる谷崎テトラ。プロデューサーは、石井聰亙監督『狂い咲きサンダーロード』、川島透監督『竜二』の小林紘と、矢崎仁司監督『三月のライオン』の西村隆。協力として美術評論家の椹木野衣、そして評論家であり、ノイズ・ミュージックの世界でヨーロッパで絶大な人気を誇るユニット、メルツバウの秋田昌美が、名前を連ねている。

■コメント
スタイリッシュでありながら、ドキュメンタリー映画を観ているようなリアリティだった。エーテルの実験室の後、廃屋とコンビニエンス・ストアが生々しかった。日常はあまりにも狂気をはらんでいる。生命体はエロティックだし、エロスは限りなく死に近い。血が流れているよ、体の中に…。- 冴島奈緒-

スピードとエネルギーとドラッグ、めまぐるしく展開する暴力的なシーンの中、ラバースーツの冷ややかな感触が印象的だった。- 飯沢耕太郎(写真評論家)-

『ラバーズ・ラバー』が撮られた時にまだオウム事件は起こってなかった。だが、洗脳、暴力、セックス、薬物、識域下操作、生体実験、闇のユース・カルト……といった前作を受け継ぐモチーフはオウムのおかげでたんなる絵空事ではなくなった。というより、現像されぬまま眠っていたフィルムが現実世界に作用するって事だってあり得る。映画の霊性とはおそらくそんなところにあるのだ。『ラバーズ・ラバー』は最初から最後まで叫んだり痙攣したり、苦悶したりしている。いさぎよいほど同じテンションで黒と白のきれいな濃縮画面が良い。秋葉原サイバーパンクを超えて男気ハードコア・ロマンの世界に突入した。
- 秋田昌美 ミュージシャン×評論家-

映画というメディアのはらむ本質的な危険性を、この作品ほど直接的に映し出しているものは、私が知っている他に例がない。それは、この作品が、拉致・監禁・洗脳といった「危ない」テーマを扱っているという理由からではない。そうではなくて、そもそも映画というメディア自体が、拉致・監禁・洗脳のための密室に他ならないのだ。密室・暗闇・点滅する光輝、鳴り響くサウンドトラック……某宗教団体が起こした事件などより、この作品は危険で、それ故に魅力的なのだ、と私は強く確信している。-清水アリカ 小説家-

端的に言って、近年、これだけ原始的な意味で「映画」たりえている作品は、少なくとも国内では稀だと言ってよい。闇はあくまで黒く沈み込み、反対に光を目も醒めんばかりに輝かせる照明の妙技。畳み掛けるようなカットの積み重ねが生み出すアクション。すなわち光と影、そして運動……この三つのポイントに於いて『ラバーズ・ラバー』が実現している水準は、映画と称して、その実、TVやビデオまがいの映像ばかり見せられている日頃の鬱憤を心地よく吹き飛ばしてくれる。しかし、それだけならばこの映画は、ただたんに稀な感性と秀でた技術に支えられた、いかにも優等生の作りそうな映画に留まっていたに違いない。この映画を非凡な物にしているのは、こうした映画的水準にはおおよそ釣り合わないような様々な破綻が、これまたこれでもかとばかりに積み重ねられていることにある。判然としない物語の進行、聞き取れない台詞、度を超えた暴力描写、ほとんどドタバタに近い演技過剰、聞き覚えのない奇妙な音楽……こうした破壊的な要素が、得難い成果と並行したまま、なんの矛盾もないかのように一本の作品にまとめあげられているのである。いったいこれを観るものは、怖がったらよいのか笑ったらよいのか感動したらよいのか怒ったらよいのか……。しかし、そのような混乱を巻き起こすことこそが、この映画の最大の魅力にほかならない。多くの人は拒絶するかもしれない。しかし、この場に及んでまだ映画がありうるのだとしたら、このくらいのものでなければ気が収まらないわたしなどにとって、『ラバーズ・ラバー』のような映画を実現してしまう福居監督のオブセッションは、ほんとうに貴重なもののひとつなのだ。-椹木野衣 美術評論家-http://www.honekoubou.jp/rubbers.html

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