(C) 2008 Eskwad - Wild Bunch- TCB film
ホラー映画の概念を一新する問題作『マーターズ』が8月29日より公開される。
今年開催されたフランス映画祭2009のホラーナイト上映をはじめ、世界各国の映画祭を騒がせ、すさまじい流血と凄惨なバイオレンス描写、サスペンスとしての卓越したストーリーテリング、人間の尊厳を訴える復讐の物語としての設定、そして衝撃のラストに至るまで、フランス初のニュータイプのホラー映画として公開前から話題を集めてきた。これまでのホラー映画の枠を超えた評価を得たパスカル・ロジェ監督の才気とともに、モルジャーナ・アラウィとミレーヌ・ジャンパノイという血塗られたヒロインの演技も見逃せない。
(C) 2008 Eskwad - Wild Bunch- TCB film
ホラー映画の不文律を内側からずらしていくようなセンセーショナルな物語とともに、ショッキングな表現がふんだんに採用されているにもかかわらず、どのシーンでも不思議な気品さえ感じるのは、フレンチ・ホラーならでは。スピリチュアルな後半の展開の吸引力は抜群だ。あなたが映画の最後に到達したとき、マーターズ(martyr=殉教者)というタイトルの意味するところ、その崇高なまでの監督の意図を理解していただくことができるだろう。
正気と狂気の挾間はどこにあるのか?暴力とはなにか?そして生きるとはなにか?そんな哲学的な命題に、映画は鮮烈なヴィジュアルと予測不可能なストーリーで観客を追いつめていく。エンド・クレジットではダリオ・アルジェントへ献辞が捧げられるなど、生粋のホラーファンの心を揺さぶる映画であることは間違いないが、ホラーと縁のなかった方にもこの未曾有の映像体験をぜひ感じていただきたい。ただし、観る前の体調と気持ちのコンディション管理は万全に。
『マーターズ』
2009年8月29日(土)よりシアターN渋谷にてレイトロードショー(ほか、全国順次公開)
監督:パスカル・ロジェ
出演:モルジャーナ・アラウィ、ミレーヌ・ジャンパノイ、カトリーヌ・べジャン、他
2007年/フランス・カナダ合作/100分
提供・配給:キングレコード+iae
公式サイト