ドラム、ベース、サックスのトリオ。意外な編成に惹かれたのと、レジェンドを目の前で観れる機会などあまりないかも、と思い、観に行った。スタンダーズやザ・クァルテットでは観たものの(といってもコンサートホールだけど)、自身のバンドを観ないと駄目だなと改めて思った。大変素晴らしく、また観に行きたい。ベースはマシュー・ギャリソン、サックスはラヴィ・コルトレーン。
ピアノ演奏もアルバムに収められている、というディジョネット。そんなことも全く知らなかったが、この日ピアノを演奏したのは「After The Rain」。曲の背景など知らないが、文字通りに雨降って地固まる的な、カタルシスを感じるような曲で、ディジョネットの出だしのピアノインプロヴィゼーションがフリーリーで、例えて言うなら大雨な感じ。そのコントラストがよかった。実際にこの日は会場にでかける直前に凄い雨がふり、雨の後の空気感や臭いなどが、演奏(雨上がりの部分)を聴いているときに蘇り、誠に聴くべきときに聴けた!と思った。雨が上がって、雲間から明るい日差しが見えてくる瞬間、ああよかったと思う気持ち、そんなポジティブな何かが伝わる演奏だった。
また、自分の父と同じ楽器で父の曲を演奏するのを聴いている我々、という状況もなんか不思議だった。ジョン・コルトレーンの動画などあまり見たことがないが、ラヴィは演奏していないときの横顔が親父に似ている気がした。大きな音で(マイクが要らない感じ)ブリブリと吹き続けるところなど圧巻で、ジョン・コルトレーンもこんな感じだったのだろうか、と思ってしまった。マシュー・ギャリソンもやはり自分の父と同じ楽器をやってるわけだが、スタイルがあまりジャズっぽくない気が。ピアノレスだとベースが伴奏的なこともやるからなのか、PCやイフェクターを使って音を駆使して観ていて楽しかった。
このトリオとしての活動をほとんど知らないが、一曲目がアヴァンギャルドというか難解で、正直ずっとこれだと耐えられないかもなど思ってしまった。今思うと曲の骨子はあるがほとんど即興なんじゃないかとも思える。私には予習が必要な曲だが、次に観たらどんな風にかんがえるのだろうか?数曲演奏したあとで「Atmosphere」という曲名であり、いつも演奏している曲と言っていたので、トリオの方向性はこういう感じなのかもしれない。ドラムやシンバルで小さな音を出す、ベースの弦をこする、などには、ブランドン・ロスが入っても全く違和感がない感じがした(そんなバンド観たいよね)。
参考:
BNTのサイトのライブリポートにディジョネットがリーダーとして来日するのは二十数年振りとあった。貴重な体験だったのか!
http://www.bluenote.co.jp/jp/reports/2014/05/21/jack-dejohnette-trio-featuring-ravi-coltrane-matthew-garrison.html
余談:
サイン会があるというので、列に並び、感想をご本人に告げた、「アフターザレインには感動しました。というのも今日は激しい雨で…」、とここで「ハッハッハ」とお笑いに。私としては、ここは笑うとこじゃなくて(上に記したような)続きがあるのにと思ったのだが、今にして思えば、そんなネチネチした感想など言わなくてよかったのかも。