公開中の傑作「君と歩く世界」のオディアール監督にこちらがしたインタビューがアップされました。オディアール監督は大好きなイーストウッドと並ぶぐらい敬意を持っている方なのでインタビューができて本当に光栄でした。盛り上がったインタビューになったのでよかったら是非見てください
<「君と歩く世界」ジャック・オディアール監督インタビュー>
http://intro.ne.jp/contents/2013/04/12_2041.html
[抜粋]
わたなべ:他のインタビューなどで今作を監督はメロドラマと言っていますが、それは広義の意味でのメロドラマでとても重層的かつ豊潤な感情が行き交うドラマです。あらすじでは説明しきれない、とらえきれないその豊潤さに感嘆しましたし、ダグラス・サークを想起しました。
ジャック・オディアール:ダグラス・サークは好きだしもちろん意識していた。今作では他にはトッド・ブラウニングの「フリークス」やチャールズ・ロートンの「狩人の夜」も意識したよ。小説だとゴールディングの「蝿の王」もね。今作は構成だけ考えたんだ。男女を軸としたドラマの構成だ。そこだけ見たらメロドラマというわけさ。そして、いつもこころがけている
ことだけど観客が予測できないような展開にした。だって日常だって次に何が起こるか分からないじゃないか。その感覚を観客に味わってほしいんだ。だから説明もしすぎないようにしている。
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わたなべ:脚本はどれぐらいの完成度で仕上げるのでしょうか?
ジャック・オディアール:完璧になるまで何度も仕上げる。今作は前作の「預言者」に続いてトーマス(・ビデガン)と脚本を書いた。でも脚本にはこだわらない。まずリハーサル用に脚本が一つ出来る。
わたなべ:それはどのようなものでしょうか?
ジャック・オディアール:俳優とリハーサルしているうちに思わぬアイデアが俳優から出てくることがある。それをメモしてリハーサルをもとに脚本をもう一つ作るんだ。そして撮影現場でもリハーサルしてアイデアが出たら始めにある脚本とリハで出来た脚本とつき合わせてそのシーンを組み立てていく。
わたなべ:それであれだけ生き生きしたシーンが生まれるんですね。
ジャック・オディアール:シネマは正解のない生き物だからね。