先週にロンドンでインタビュー撮影してきたマイク・フィギス(監督 「リービング・ラスベガス」「Timecode」など)の著書「デジタル・フィルムメイキング」の日本版。内容が良いうえに、フィギスがカフェで話しをしているかのように読みやすい好著。
[抜粋]
オーソン・ウェルズには、こんな興味深いエピソードがある。「市民ケーン」の冒頭はウェルズのシーンから始まる。セットの照明を動かして手作りの舞台を背景にしてしまったのは他ならぬウェルズだった。撮影監督のグレッグ・トーランド(「市民ケーン」以前は「嵐ケ丘」など。余談だと「市民ケーン」の編集はロバート・ワイズ)は「そんなことしちゃだめだ」とウェルズに耳打ちした。その当時、担当者以外はたとえ監督であっても照明を動かしてはならないという組合の申し合わせがあったからだ。トーランドはウェルズと一緒にランチに行き、現場での約束事を事細かに説明した。むさぼるように情報を求めて、たくさん質問をしている貪欲なウェルズの姿が目に浮かぶようだ。映画製作に必要なことは全てそのランチの時に教わったと事あるごとに語っていたらしい(マイク・フィギス「デジタル・フィルムメイキング」より)
[マイク・フィギス「デジタル・フィルムメイキング」]
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