主人公が死を決意してからの8日間を描いております。
最終的に主人公が亡くなるのは分かっているのに悲壮感は無く
コミカルさがある描写で綴られてます。
メインの悲恋は7日目でようやく語られるので
それまでが少々長いかなと感じました。
愛し合っていた男女の恋は叶わず、別れる事になり
彼はずっと彼女の事を想い続けていて、その想いが彼の弾く音楽に宿り
音楽家として成功する事になるのです。
死を意識した引き金はバイオリンを壊された事ではなく
実は…それが8日目で判明します。
叶わなかった恋だからこそ美しいのであって
声はかけるべきじゃなかったんだよね。でも声かけちゃうよね…
主人公の奥さんだって、ずっと彼を愛し続けていたのに
決して幸せと言えない境遇だったのは皮肉なもんです。
当時は愛し合っていた主人公ナセルとイラーヌだって
無事に結婚していたら、どうなっていたかなんて分からないですし。
だからこそ、思い出として美化され心に封印されたからこそ
お互いの心に残り続けていたんだと思うんですよね。
また光と陰や煙を使って心情を表現していて、面白い映像表現だったと思います。
芸術家の孤独と、美しい恋の記憶。
秋に観るには丁度良い雰囲気の作品だと思います。
イラーヌを演じたゴルシフテ・ファラハニがびっくりする程美しくて
そりゃ一目惚れするるのも納得です。
(点数:60点)