ドイツの鬼才ミヒャエル・ハネケ監督による、第62回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞の犯罪ミステリー。しかも初のモノクロ作品ということで、何故なのか？という疑問をもちつつ鑑賞したが、そんな疑問は見ているうちに忘れてしまうほどの面白さと不安、そして美しい映像。人間の心の闇に潜む残酷な部分を浮き彫りにし、その内面に執拗に迫る作風に吸いこまれてしまう自分がそこにはいました。登場するのは小さな村で皆がお互いを知っているほどの人たち。登場人物の誰もが疑わしいと思えるほどの不気味な事件が連鎖して起こり、その事件は実はつながっている。そういった陰湿で鬱屈した人間の奥底に隠れる心の闇が実は自分にもあるのではないか？と鑑賞しているものに思わせてしまうような演出。ミステリーを超えるほどの圧倒される設定にも脱帽であった。この映画は鑑賞する側に莫大な想像力をもたらせてくれる作品である。子供たちの賛美歌を歌う姿が美しいのであるが、その子供たちの瞳も印象的なのです。全てを結論として明かさないところが、ハネケ監督ワールドを堪能できます。
