2010-02-25

黒沢清監督「タイムスリップ」、面白い!!!!!&日本映画というワンダーランド このエントリーを含むはてなブックマーク 

もう3週間以上前になるが、西尾くんの「ナショナル・アンセム」の上映後にゲストの黒沢清監督と4時間半ほど飲む機会があった。黒沢さんとは、そのちょうど1年ほど前に同じ会場のアップリンクでトークショーをやらせていただいたときがきっかけになり、メールのやりとりやたまに物を送るようになったのだが、飲むのは初めてだった。黒沢さんの率直で飾らない人間性には素直に魅かれるものがあったが、このような飲みの席に同席するのは初めてだった。

そのときに西尾くんが「黒沢さんが関西テレビで大杉漣さん主演で撮ったタイムトラベルものの短編は面白いですよね」の話しになり、黒沢さん自身も気に入っているとのことで、その後はSF映画談義になったのだが、このタイムトラベルものは気になっていた。

後ですぐに調べたら「愛と不思議と恐怖の物語/7人の巨匠がおくる7つのショートストーリー」のタイトルでDVD化されている02年の作品とのことで探したが、渋谷のTSUTAYAなどにもなく思案していた。地元の懇意にしているDVDレンタルのv-rexに話したところ、「黒沢清監督作品は好きなので問屋に在庫あるか聞いてみます。(電話して)ありましたので仕入れます。明後日に届くので来てください」とのことで、見ることができた。「恋はデジャブ」や「うるせいやつら2/ビューティフル・ドリーマー」と同じく、同じ時間に閉じ込められてしまうストーリーを大杉漣さんが「死霊のはらわた」のブルース・キャンベル並みの芝居で楽しませてくれて、えらく面白かった。タイムワープを講義する教授自身が皮肉にも、その講義のタイムループにはまるのワンシチュエーションもので、黒沢さんによると9時に撮影開始して12時までに撮影が終わってしまい、昼のお弁当が余ってしまい製作部が困ったとのことだった。今作のプロットを聞いて思い出したのがジョージ・ミラーの「暴力の歴史パート1」(71)という短編で、「最近の映画の「ワイルドバンチ」や「時計仕掛けのオレンジ」などの暴力描写はなっとらん。社会に悪影響を与える!」の熱い講義をしていた大学教授自身が皮肉にも理不尽な暴力に会うというブラックコメディだった。このことを飲みの席で黒沢さんに伝えたら「その作品は知らないけど面白いね」とのことだった。こちらもPFFの特別上映で観ただけだが、とても印象に残っている作品だった。

話しは少し変わるが、一昨日の朝日新聞に次の日本映画の海外セールスや海外からの製作資金の記事が載り、twitterでも話題になった。

<朝日新聞グローブ (GLOBE)|日本映画というワンダーランド Action! Japanese cinema goes global>
http://globe.asahi.com/feature/100222/index.html

この記事は北野武監督や是枝裕和監督などと黒沢さんも登場して、割と多く黒沢さんが出てきて話している。そして、ここで黒沢さんが話していることは、その飲みの席で多くは聞いたことだった。こちらから質問したことでもあるのだが、海外を視野に入れた日本映画の方向性という意味で、あの夜に黒沢さん本人から聞いたことは刺激的で今も消化しきれていないが、その一部がこの記事にも載っていて思うところがいくつもあった。うまくまとめられないが、この思いを日記に書いておいておこうと思った。そして、行動あるのみなのも分かっているが実感した。その思いをさせてくれた黒沢さんには、とても感謝している。

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わたなべりんたろう

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わたなべりんたろう

“「ショーン・オブ・ザ・デッド」の監督・主演コンビの傑作「Hot Fuzz」の公開署名運動をしています。 <Twitter> http://twitter.com/RintaroWatanabe ”