2010-02-10

アップリンクレコーズ始動 このエントリーを含むはてなブックマーク 

土曜日迄ロッテルダム映画祭に行ってきました。オープニング作品は、日本では『乾き』がこれから公開されるパク・チャヌクのもう新作と思いきや、パク・チャノクの『パジュ』ということに見終わってから気づきました。

さて、去年から準備をしていたアップリンクレコーズを始動させます。
これまでもサウンドトラックをリリースしてきましたが、本気で音楽に取り込もうと思っています。

映画業界以前に音楽業界も大変な状況ですが、それは大きなロビーのあるビルにある会社のことで、事務所やトイレの掃除を自分たちでやっている規模の会社なら全然別の経済の論理でまだまだやれることはあるのではと思っています。

多分、この業界の先輩達から無謀だと言われるかもしれませんが、世の中ここまでひどくなると、逆にレコード会社の仕事はやりがいがあると思っています。
自分の信じる映画や音楽をプロデュースし多くの人に観たり、聞いてもらいたいというシンプルな動機で仕事をしたいと思います。

それに映画を製作して来た経験からいうと映画と比較すればですが、
音楽製作は映画ほど莫大な製作費はかからないという事もあります。

アップリンクレコーズで一番やりたいことは自分の信じるいい音楽を伝える事。
そしてそれを創造するアーティストが継続して活動出来る環境を一緒に作る事。
なにもないところからから音楽を生み出すミュージシャンを尊敬するレコード会社でいたいし、、今迄の業界に慣習に従う事なく、例えば契約面でもアーティストの事を考えたフェアな条件で考えていこうと思っています。

アップリンクは、自分たちでディストリビュートできるし、映像制作もできるし、自分たちで宣伝もできる、webDICEもフリーペーパーもある、そして、ファクトリーという小さいけどライブができる箱があるのでそれらの機能を最大限に生かせば面白い事が音楽の世界でもできると思っています。

最初にリリースするのは、昨年のアップリンクでセルフドキュメンタリー映画『無言歌』を
上映した際に出会った、鈴木祥子さんの音楽です。
シングルCD『my sweet surrender』とスタジオライブを収録した特典付きのDVD『無言歌』をリリースします。

録音と撮影を1月に行い、現在最後のミックス中です。

個人的にはその映画『無言歌』と彼女のアルバム『鈴木祥子』『Sweet Serenity』は同じテーマを扱った鈴木祥子の三部作だと思います。
メディアは違いますが、CDアルバムを絵のない映画とするならこの3本の映画は、2009年に観た聞いたというかこれまで出会った作品の中でベストフィルムです。

例えばアルバム『Sweet Serenity』の中の1曲「father figure」。人がこの世に存在し生きていくことのどうしようもない困難さと戸惑い、そしてそれでも生きていくのだという小さく大きな決意、それは「今ここで生きてるから」と歌う彼女の歌に大きく心を揺さぶられました。なぜか、この言葉から昨年東京FILMEXでロウ・イエ監督の『Spring Fever』の青年が南京の街で生きていくというラストを思い出しました。

というわけでアップリンクレコーズ第一弾として、4月8日に鈴木祥子シングルCD『my sweet surrender』とDVD『無言歌』をリリースします。

今週土曜日にはベルリン映画祭に行ってきます。

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浅井 隆

ゲストブロガー

浅井 隆


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