七里圭監督と行ったスコリモフスキ監督インタビューがアップされました。
佐野さんに協力をいただいた。
<イエジー・スコリモフスキ監督インタビュー>
http://intro.ne.jp/contents/2009/11/22_2324.html
<抜粋>
七里:音の演出は、現場で決められることが多いのでしょうか? それとも、あらかじめ細かく考えられているのですか?
スコリモフスキ:それは場合によります。このシーンにはこういう音を入れたい、と前もって考えているときもあれば、編集の段になって思いつくこともある。もちろん私は、撮影中もつねにサウンドトラックのことを考えています。たとえばナイトシーンであれば、どんな音が夜には聞こえてくるのかを想像し、クルーに必要な音を集めてもらう。さきほど例に出した犬の鳴き声は、撮影前から考えていたことなので、サウンドクルーに「出くわした犬の声は、とりあえず全部録っておいてくれ」と頼みました。
わたなべ:監督はかつてジャズミュージシャンでもいらっしゃいましたね。その経験は音の演出に影響を与えていると思われますか?
スコリモフスキ:鋭い指摘です。私はジャズドラマーとして、できるかぎりの努力はしましたが、残念ながら突出した才能を発揮することはありませんでした。ジャズはコラボレーションの芸術ですから、即興で音を出したとしても、全体のリズムに瞬時にあわせていかなければ意味がない。そういうジャズの「心」を、私は無意識のうちに持ちつづけていて、映画をつくるさいの音の演出にも影響を及ぼしているのかしれません。
わたなべ:『アンナと過ごした4日間』には、印象的なカッティングがいくつもあります。たとえば、母親が死ぬシーンで、主人公が叫びながら部屋に入ってくる。そこで突然カットが変わり、クレーン撮影による葬式のシーンにつながる。
スコリモフスキ:あそこは当初、母親が死んだあとに棺を運んでいるシーンを入れることも考えていたんです。しかし、それでは説明的なうえに、観客にショックを与えるような効果は得られない。そこであのようなシーン構成を考えだしました。