好きなことを続ける人間の生き様を描いた映画である。観る者の立場によってこの映画の印象はかなり違うであろう。私は何かを深く考えさせるメッセージのある映画だと思った。
悲しい男のお話だ。ショービジネスで いったんヒーローになってしまうと 死ぬまで そこから抜け出すことが出来なくなってしまう男の悲哀。救いのない老醜。
53歳のミッキー ロークは、1980年代には、アメリカのセックスシンボルと言われ、大変な人気だった。一度は映画の世界で成功を収めながら、しばらくその映画正解から忘れ去られ、日本でも話題になったプロボクサーに転進しながら「猫パンチ」で失笑を買ってしまうなど、スターから堕落。そんな彼だからこそ、肉体のシェープアップの凄さ、映画のためのプロレスへの取り組みなど、このえ映画への意気込みもさることながら、役に投影できているのだと思った。誰も避けることができない老いと孤独、そして人生の葛藤。それらをリアルに描いたシリアスなストーリー。ショービジネスで いったんヒーローになってしまうと 死ぬまで そこから抜け出すことが出来なくなってしまう男の悲哀。夢だった過去の男のロマン。
人生とは好きなことだけしていけるわけではない。好きなことだけをしていくことが、すばらしい生き方ではない。世の中では自分の好きなことをしてお金がもらえるな、という人もいる。そんな人は一握りで、生きていくために、どこで妥協すべきか?
こんなことを映画を見終わったあと、深く考えました。今置かれている自分の状況、境遇、今後の生き方について、どうすべきか?
又この映画ではミッキー・ロークの17歳の娘役にエヴァン レイチェルウッドが出演しているが、彼女のかたくなで純粋な美しさが、孤独さをさらに表現していた。
孤独なストリッパーの役を見事に演じているマリサ トメイにも圧巻された。というのも44歳とは思えないほどの美しい体である。この2人とミッキー・ロークの人間ドラマとしての絡みがもう少し欲しかった。この点が若干残念だった気がする。
最後に。。。この映画ではプロレスが題材ですが、全く格闘技に興味のない私でも楽しめた映画である。最高のヒューマン・ドラマ!