ショーン・ペーン主演の『ミルク』と、1984年アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞した『ハーヴェイ・ミルク』を見た。ハーヴェイ・ミルクは、米国主要都市の公職に就いた初のゲイの政治家だ。『ハーヴェイ・ミルク』は“政治家ミルク”を中心にしたドキュメンタリーであり、一方、『ミルク』は、ミルクの恋愛のエピソード、政治家を目指すまでの選挙運動、当選後の目覚ましい活躍などをドラマ風に描いた作品だ。
私は最初に『ミルク』を見て、次に『ハーヴェイ・ミルク』を見たのだけど、強烈に『ハーヴェイ・ミルク』が好きになった。おそらく、どちらの映画を見ても、後に見た映画のほうが印象に残るのではないかと私は考える。なぜなら、最初に『ミルク』を見た人は、喜怒哀楽のある“人間・ミルク”を知り、続いて『ハーヴェイ・ミルク』で、前作では描かれていなかった“公人ミルク”の偉大な業績に圧倒されるからだ。特に、ミルクが政治的損得を計算せずに政治活動を行っていたとコメントする、中国系米国人の発言は象徴的だ。
逆の順序で見た場合、常に自信に充ち溢れ、堂々としているミルクのオフタイムの顔を、『ミルク』で知ることになる。一人で誕生日を過ごしたくないと言ったり、恋愛関係で悩んだりする。歴史に名を残すようなミルクも、私たちと同じなんだということに気づく。
であれば、ミルクがやり遂げたことは、私たちにもできることなんじゃないの…と言えるのではないか。かなり強引だが、そうじゃなくて?
大きな会場で行われた『ミルク』の試写会では、映画終了後、拍手がわき上がった。こんな試写会は初めてだった。でも拍手の意味はよくわかった。見た人が、人生に、社会により深くコミットしたくなるような映画だった。
ということで、『ミルク』を見たら『ハーヴェイ・ミルク』も見てください!
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