この映画にはヒロインは登場しません。
男性ばかりの映画なんて、戦争ものかスポ根ものとおもっていたのに、
見事に甘く切ないお話に仕上がっていました。
三枚肉と焼酎好きの辛党の洋菓子店オーナーのジニョク。
「魔性のゲイ」で男性を翻弄する天才パティシエのソヌ。
超甘党の元ボクサー、ギボム。
ジニョクのおさななじみのギャルソン、スヨン。
最初のうちこそタッキーや椎名詰平や藤木直人の顔がちらついたものの
途中からはソヌ(キム・ジェウク)の美しさに圧倒されて、
テレビドラマの存在を忘れてしまいました。
(ドラマではたしか「女性恐怖症」というイマイチの設定でした)
「王の男」のイ・ジュンギも美しかったけれど、彼はまさに「魔性のゲイ」ですね。
元恋人のフランス人パティシエ、ジャンを演じるアンディー・ジレは
現在公開中の官能美作品「アストレとセラドン」の主役です。
洋菓子も芸術品レベルになると、
ハングル文字や韓国語とはイメージが・・・・、
と思ってきたところで、ジャンの登場。
しかも彼との会話は全部フランス語。
というのもよかったです。
日本のドラマだったら、安易にフランスロケをして
「がんばりました」感をだすのでしょうが、
この作品は、彼らのフランス語で、
さらにケーキの味と香りがグレードアップしたように感じました。
2時間足らずの中に、
いろいろなエピソードが詰め込まれているのですが、
ミュージカル仕立てでテンポ良く進み、
中だるみの部分がまったくないです。
アンティークの調度品にフレッシュなケーキ、
減量が必要なボクサーがケーキ好き、
超辛党なのに洋菓子店のオーナー・・・
相反することがリズムよく、ちりばめられています。
幼い頃に誘拐された・・・
初恋の男性と母が関係していた・・・
網膜はく離でボクサーの道を断念した・・・
悩みやトラウマをかかえた男たちが
今日も極上のスイーツと
おもてなしで、お客を迎えます。
ほろ苦い人生を甘くするために・・・