岸川真さんの新刊『蒸発父さん 詐欺師のオヤジをさがしています』が面白い。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862381111/tsreclin-22
前著『佃島・月島游記』とおなじく、ノンフィクションでありながら私小説、私小説でありながらエッセイ、という中間的な味わいの作品(小島信夫や藤枝静男、長谷川四郎の系譜に属する)。
「カタチ」を重視するいまの出版界では売りにくい本かもしれない。
失踪した詐欺師の父親をさがす主人公がいる。
その姿をみつめる書き手は主人公と同一人物のはずだが、どこか第三者のようでもあり、また主人公のもう一人の人格のようでもある。
読者の視点を揺さぶる、虚実ないまぜの展開がスリリングだ。