ドキュメンタリー映画『広河隆一 人間の戦場』(長谷川三郎監督)について、2月5日未明、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル実行委員会に対して公開質問状をお送り致しましたので、以下のとおり全文を公開いたします。
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座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル実行委員会
(株式会社ドキュメンタリージャパン内)
ご担当者様
突然のメールで失礼を致します。都内で映像作品の制作、批評、上映等の活動に関わっております吉田孝行と申します。
今年も2月6日(水)から座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルが開催されますが、私もフェスティバルには毎年のように参加しており、今年も開催を楽しみにしております。
さて、2015年のフェスティバルにゲストとして登壇されたフォトジャーナリストの広河隆一氏のパワハラ・セクハラ・性暴力の実態が、週刊誌や新聞などで相次いで告発され、社会的事件となっていることはすでにご存知かと思います。
広河氏に関しては、『広河隆一 人間の戦場』(長谷川三郎監督)というドキュメンタリー映画が制作されており、2015年12月に劇場公開され、全国各地で上映されました。
しかしながら、私が把握している限り、今回の事件を受けて、このドキュメンタリー映画の関係者からは、今日に至るまで、コメント等は一切出ておりません。
私はこの映画を拝見しておりませんが、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルのプログラムディレクターである山崎裕氏はこの映画のメインキャメラマンであり、実行委員の橋本佳子氏はこの映画のプロデューサーであり、共催のドキュメンタリージャパンはこの映画の制作会社です。
(1)座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルは、今回の広河氏の事件を受けて、実行委員会として何のコメント等も出す必要はないとお考えでしょうか?
また、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルのコンペティション部門でドキュメンタリー映画『広河隆一 人間の戦場』のプロデューサーである橋本佳子氏が審査員をされることを私は認められません。
(2)自身がプロデューサーを務めたドキュメンタリーの主人公が、卑劣極まりないパワハラ・セクハラ・性暴力の加害者であることが明らかとなったにも関わらず、そのことについて何の説明責任も果たさないまま、他人のドキュメンタリーについて審査員を務めることは、実行委員会として何ら問題はないとお考えでしょうか?
とりわけ、橋本佳子氏は、自身のツイッターで「広河さんとの付き合いは84年のベイルートからで30年。ベルリンの壁崩壊、チェルノブイリ、いくつもの番組でご一緒した。今回、縁があり、プロデューサーを務めました」と書かれております。
今回の事件を受けて、広河氏との関係やこのドキュメンタリー映画の制作の経緯等についてご説明をお願いできれば幸いです。
以上2点について、実行委員会に対して責任のある回答を求めます。また、本メールは私個人による実行委員会への公開質問状とさせて頂き、その回答とあわせて、私のブログやSNS等で広く一般に公開させて頂きます。
なお、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル実行委員会には、私の友人知人もスタッフとして関わっており、当然ながら、私がここで提起していることは、ドキュメンタリー制作者の社会的責任に関わる問題であり、実行委員会に対して敵意を表明するものではありませんので、念のために付け加えておきます。
2019年2月5日
吉田孝行
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座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルでは、実行委員長の清水哲也さんとプログラムディレクターの山崎裕さんのお二人に直接お目にかかり、お話を伺いました。会期中のお忙しい中、わざわざ時間を取って頂き、誠実にご対応して頂いたことに、感謝申し上げます。http://zkdf.net/news/news-223/
審査員の資格まで問うのはどうかという声を多々聞きましたが、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルでは、以前のように公開審査会を行いネット配信もするという私の思い込みがあり、公の場で発言、しかもドキュメンタリーについて発言をするならば、その前にご自身の映画の説明責任を果たすべきだろうという趣旨でした。
2019年2月14日 追記
吉田孝行
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本日、映画『広河隆一 人間の戦場』の関係者からコメントが発表されました。私もこの問題を追求した者の一人ですが、真摯な内容のコメントを読み、私自身に過剰な疑いや思い込みがあったことも否めませんので、その点に関しては関係者の皆様にお詫び申し上げます。http://www.ningen-no-senjyo.com/
2019年2月19日 追記
吉田孝行