黄金町映画祭を覗きに行く。
http://www.koganecho.com/
前田陽一監督の『喜劇 家族同盟』『虹をわたって』の2本立て。
『喜劇 家族同盟』は、空襲で家族を亡くした男が山手の邸宅で擬似家族をつくって暮らし始める、という人情喜劇だが、前田陽一の演出はときに狂気に触れる瞬間があって、笑いながらも戦慄させられる。
『虹をわたって』は、以前から評判を聞いていたが、噂に違わぬ怪作。
天地真理主演のアイドル映画でありながら、中村川に浮かぶドヤ舟の住人たち(なべおさみ、岸部シローらが演じる)に焦点が絞られ、痛烈な権力批判が展開される。
で、いずれの作品にも、古きよきコミューンの体現者として、有島一郎が登場する。
戦後日本の善良なる市民を戯画的に象徴しているかのようなこのダメオヤジの風体に、おぞましいものを感じてしまうのはなぜだろうか。