スペインのグループ展「PROCESS ART IN TRANSITION: Processual AXIOM OF CREATIVITY」が7月10日に始まりました。8月15日までたっぷり展示してもらえます。
http://www.kaosart.org/PROCESS/home.html
キュレーションのテーマは、タイトルそのまま「プロセス」です。作品制作において、コンセプチュアルなテーマを遂行するための不可欠の要素として、もっと言えば制作行為の原理として、複数のプロセスをその作品の中心に据えている作品の展覧会です。
今回は初めてのヨーロッパでの展覧会なのですが、参加への経緯もいつもとは違い、向こうのキュレーターと個人で直接連絡を取って得た機会です。グループ展ではありますが、広い会場ということで、横幅約12メートルの展示スペースをもらえました。展覧会の詳細を掲載したカタログもつくってもらえるとのことで、なかなか楽しみです。
参加作品は、昨年まとめて制作したシリーズ『Grammatical Luxation』から、全7セットのうち1セット分の81枚です。シリーズ全枚数の567枚を掲載する580ページの作品集ももうすぐ完成します。サインとナンバー付きの限定80部。是非買ってください。
『Grammatical Luxation』について、さわりのみ以下に記します。
作品『Grammatical Luxation』について
『Grammatical Luxation』は、日本の古いポルノ小説の脱構築として制作された。作品における構成された描線は、ある厳格なプロセスから抽出された原文の「メタ構造」の要素である。
それぞれの要素は3種に分かれており、それぞれがもつ機能と特徴は次のように説明できる:
a : 性的な表現のみをその文章内に維持するための工夫とそのトレース
b : コンピュータ上にそっくり入力された文章の、厳正さを確認する校正作業とそのトレース
c : bで発見された誤りの修正後、ある文法に則ったルールで刻まれた点と線
この作品も、制作に際し参照される以下の定義に基づいている。特に(1), (2), (3), (6)。
1) 言語学理論を参照点とする、伝統的汎言語価値体系の帰納的解体(延いては、言語現象の一般共通構造の抽出とその脱構築)
2) 1)へのエロティズムの介在、干渉
3) 1), 2)への偶然性の適用
4) 1), 2), 3)の行為において直接的身体性の排除と間接的身体性の再構築=拡張
5) 1), 2), 3), 4)による社会制度の根底の問い直しとその観察
6) 1), 2), 3), 4), 5)から導き出される人間性の否定
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そういえば、だいぶ前に、最近のアート批判を書くと言って、続きを書いていなかった、、。今回もちょっと面倒なので、気が向いた時にでも。
でも、ちょこっとだけ。
「ただただ健全な、無味無臭、無害な表現や、観客参加型の催し、またはイベント運営で、社会にインスタントに貢献しようと、しているなどと思わないで欲しい。まずは、世間に依存するのでなく、個人を確立すべき。100均レベルの量産型の安い倫理でものごとを測ったり裁いたりするようなことはやめて欲しい。」