松本哲也さんの日記
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2013
5月
17
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『三姉妹~雲南の子』クロスレビュー:過酷な現実を生きる少女
富裕層ばかりが注目される現代の中国だが、雲南省海抜3200mの小さな村の本当に貧しい生活が、胸に突き刺さるドキュメンタリー。 貧しさに耐えかねた母親は家を出て行き、出稼ぎに出ている父親の留守を守り、幼い妹の面倒を見る長女、英英(インイン)は10歳。次女珍珍(チェンチェン)6歳、三女粉粉(フェンフェン)、祖父や父方の親族は近くに住んでいるとはいえ、土壁と土間の薄暗い家で、この姉妹だけで暮らして...
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2012
12月
18
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『はちみつ色のユン』クロスレビュー:主人公ユンの葛藤が浮き彫りにされる
朝鮮戦争後、沢山の子どもが棄てられ、欧米の家庭に養子として迎えられた。20万人を超える子どもが祖国を後にしたそうだ。この映画の主人公ユンは、正にその葛藤の中で育ち、自分の居場所(アイデンティティー)を求めて苦悩する。 養親一家が撮影した1971年当時の8mmフィルムを交えながら、ユンがベルギーの家族の一員として迎えられ、成長していく姿は、バンドデシネ(この映画の中ではバンデシネ、個人的...
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2012
11月
20
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『美が私たちの決断をいっそう強めたのだろう/足立正生』クロスレビュー:足立正生の横で話を聴いているような気になってくる
冒頭、暗いスクリーンに映し出される小さな女の子をブランコで遊ばせる母親と白髪の男。また、男の独白がぼそぼそと聴きとりずらいまま、長々と続いていく。『映画/革命』を読み返してくればよかったと思いながら、前夜の寝不足もあって、自分には、この映画を鑑賞する映画的教養も資格もないのだと後悔だけで観始める。更に、致命的な問題は、最初に白状するが、この映画のタイトル「美が私たちの決断をいっそう強めたのだろ...
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2010
8月
28
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【『ベンダ・ビリリ~もう一つのキンシャサの奇跡』クロスレビュー】
2004年12月、コンゴ民主共和国の首都キンシャサ。深夜の町には沢山のストリートチルドレンがいる。彼らは、かっぱらいやタカリなどて、生きている。人から盗んで生きていくのが、ジャングルの掟だと、一人の少年は言う。 2005年5月、同じ場所に、自転車やバイクを改造した車椅子に乗った男たちが、集まって来る。リーダーの男はリッキー。パパリッキーと呼ばれる障害者の自分達が生きていくために、...
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2010
7月
06
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【『ぼくのエリ 200歳の少女』クロスレビュー】美しく哀しいヴァンパイア映画。
ストックホルム郊外の集合住宅。ブリーフ一枚の少年、窓に向かい呟く「豚の真似しろよ。鳴け」 タクシーの運転手。車を止め眼鏡を外し、鼻歌を歌う。少年の部屋の窓の下にタクシーが止まる。助手席から少女が降りる。少年は、革のケースに入ったナイフを取り出す。タクシーから大きな荷物を運ぶ男。少年はナイフを仕舞い、ベッドのマットに下に隠す。中年男が外で立ち小便している。見上げると、一室の窓をポスター...
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