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日程2016年08月06日
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時間18:00
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会場青山ブックセンター本店内・小教室
シリーズ「美術館とコレクション」の第7回目は国立西洋美術館について、松方コレクションから同館創立・開館、そして現代にいたるまで、コレクション形成を軸に学びます。講師は同館 主任研究員で、近年では「ラファエロ」展や「グエルチーノ」展「非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」展などを担当された渡辺晋輔さんです。
日本で唯一、西洋美術を専門とする国立美術館 国立西洋美術館は、川崎造船所の初代社長である松方幸次郎氏(1865‐1950)がヨーロッパで収集した美術品のコレクションを土台に1959年6月に開館しました。これこそが言わずと知れた「松方コレクション」です。
松方氏はいづれ自身で美術館を設立し、「日本の若い画家たちにも本物の西洋美術を見せたい」という夢を抱き、絵画、彫刻、家具、宝石にいたるまで、1万点にも及ぶ作品を収集しました。では、氏の夢の実現が国立西洋美術館なのか?氏のコレクションがそっくりそのまま同館所蔵されているか?というと、どうやら違うようです。松方が生きた時代はまさに第1次世界大戦に経済恐慌、そして第2次世界大戦へと向かう激動期で、彼のコレクションもまた数奇な運命をたどることになったようです。
今回は、今もなお多くの謎をはらむ「松方コレクション」に迫るとともに、同館がいかにそれを引き継ぎ、創立・開館にいたったのか、さらに、その後どのようにコレクションを形成し、現在の国立西洋美術館になっていったのか、国立西洋美術館の全貌を学びます。
ラファエロのようなビッグネームの展覧会を担当しながらも、まだまだ日本では周知されていないグエルチーノ、さらには、小説家の平野さんとのコラボ展の開催など、さまざまな視点から西洋美術を楽しむ場を仕掛ける渡辺さん。そんな渡辺さんに企画展や常設展への想いもお話いただくことで、国立で唯一の西洋美術専門の美術館としての役割や使命を考えるきっかけにしたいと思います。
ぜひ、渡辺さんのお話を聞いて、国立西洋美術館をまるごと楽しんでください!
《渡辺さんからのメッセージ》
世界遺産への登録勧告を受けて最近とみに建物(本館)への注目が高まっている国立西洋美術館ですが、多くの方にとっては単に展覧会を見に来るだけの場だったかもしれません。しかし美術館の活動の核はコレクションです。事実当館は、松方コレクションはもとより、開館以降地道に形成してきたコレクションを誇っており、世界的に見てもまったく遜色のない存在です。それがいかに出来上がったのかを振り返りつつ、現在私たちがどのようなコレクション形成を目指し活動しているのかをご紹介します。また、現実に当館が抱えている問題とからめて、コレクション活用の可能性についてもお話しできたらと思います。