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終了木戸龍介 Behind the Scene - その先の揺らぐ風景、揺らぐ価値

  • 日程
    2015年08月01日 ~ 2015年08月23日

  • 時間
    11:00

  • 会場
    gallery COEXIST-TOKYO

木戸龍介は多摩美術大学彫刻科を卒業したのち、東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程へ進み、2011年に修了。これまでに、刻々と変化する流水や煙を、石や木、金属といったソリッドな形態へと落とし込む試みである「Untouchable Image」、内と外を隔てるものを穿ち、断絶から解放するかのように両者を一体化させていく「Inner Light」、「彫刻」が燃焼や溶解によって消滅する「Ash」「Bubble」といったシリーズを発表してきました。

2012年以降、ギリシャやフィンランド、ドイツ等にて滞在制作するなど、海外での活動を積極的に行い幼い頃イタリアに滞在した経験のある木戸の彫刻は、「Untouchable Image」で見られるように、石や木といった素材を使用し、飛沫をあげて流れ落ちる水や立ちのぼる煙の迫力を、たっぷりとした量感で表現しているところに、伝統的な西洋美術において体現されきた崇高さを感じさせます。同時に、捉えどころのない水や煙をモチーフに選んでいる点において、日本文化に根付く自然や生々流転するものへの興味を伺わせます。あるいは「Inner Light」を見ると、採光と通風という機能性と装飾性を兼ね備えた日本の伝統建築の部材である欄間を思い起こす人もいるかもしれません。

「Ash」「Bubble」は消滅することで成立する「彫刻」です。物質の存在が希薄になり、文化遺産として恒久的に保存されるべき美術作品の寿命も、多様化する素材や技法によって短くなってきた昨今ではありますが、あらかじめ「消滅」がその存在に組み込まれているこれらの「彫刻」は、自分の運命を受け入れて、どこか諦観の念を浮かべながら佇んでいるようです。

明治期に「彫刻」が西洋から入ってきた際、「彫刻」は絵画のように「日本画」と「洋画」に分かれることはありませんでした。しかしながら、日本の近代彫刻を担った先達は、西洋に学びながらも日本人ならではのモチーフと技法を、ときに意識的に、ときに無意識に選び出してきました。

木戸の試みには、明治以降引き摺ってきたこの「西洋」と「日本」の区分けを断絶や相違とし、その架け橋となろうとしたり、乗り越えようとするような意図はなく、21世紀以降の均質化しつつある世界をすんなりと受け入れて「今」を生きる現代人の視点が反映されているように思えます。

木戸は自作について、

「Inner Light は表面をイメージが浸食もしくは増殖していく表現ですが、ある時その形が穴をあけて光を取り込むことでダメージが光になるようなイメージをもっております。また、線香や入浴剤の作品も燃焼や溶解するという破壊行為の一方、灰の緊張感のある形や入浴剤の色や香りなどを生み出すという破壊と創造についても考えております。」

としてその二面性をあげ、このように締めくくります。

「他の方向から物事をみた時に意味が全く変わることだらけの世の中で、世界をどう捉えればいいのか、今生きている現代をどう捉えていけばいいのか、展覧会で考えられるといいなと考えております。」

当ギャラリーで初の個展となる本展では、「Ash」と「Inner Light」のシリーズを展示販売いたします。皆様にご高覧いただけましたら幸いです。

★8月15日(土)、22日(土)16時~18時は会場内で特別講座を開催します。詳細が決まり次第ギャラリーウェブサイト、FB、twitterにてご案内します。※展示が見づらくなりますのでご注意ください。

キーワード:

木戸龍介 / 彫刻 / coexist-tokyo


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