フランシス・F・コッポラのコメント
私が原作を知ったのは、高校時代の友人ウェンディ・ドニガーを通じてだった。彼女は私が長年書いてきて完成させることができないでいる“Megalopolis”の脚本を読み、返事をくれた。
彼女の感想は励みになった。さらに彼女は自分の師であるミルチャ・エリアーデが書いた小説“Youth Without Youth”から抜粋した興味深い文を同封してくれた。私は小説を読み、直ぐに思った。「これは映画化できる! 誰にも言うまい。とにかくやり始めよう」と。
この物語は、私の人生に似ている。主人公のドミニクと同じく、私も大事な作品を完成させることができず、もがき苦しんでいた。私は8年間映画を作っていなかったために、66歳にして欲求不満だった。“Youth Without Youth”は、ある意味トワイライトゾーンのようなものだった。教授である老人が若返り、夢であった“言語の起源の研究”を続けられる時間を手にする…。パーソナルな映画作りに戻りたい、という私の気持ちを投影しているようだった。またルーマニアといった異国の地にも魅力を感じた。まだ権利がないにも関わらず、どうやって映画を作ろうかと考えるようになり、分析し始める。希望が見えてきた。
【作品解説】
1930年代、人生の折り返し地点をとうにすぎた言語学者ドミニクは、自身の研究を全うできないまま、昔愛した女性ラウラを忘れられず孤独な日々を送っていた。そんなある復活祭の夜、彼は突然落雷に打たれ病院に収容される。目を覚ましたとき、一命をとりとめたばかりではなく、彼の肉体と頭脳は”若返り”、超常的な言語能力が備わっていた。その謎をめぐり時代の黒い影が忍び寄る中、彼はラウラに生き写しの女性に出会うのだが.....
『コッポラの胡蝶の夢』
監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:ティム・ロス、アレクサンドラ・マリア・ララ、ブルーノ・ガンツ
8月30日より(渋谷Q-AXシネマ改め)渋谷シアターTSUTAYAにて公開
配給:CKエンタテイメント
http://www.kochou-movie.jp/