映画『ハンガー・ゲーム』より (C) 2012 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED.
中心部の都市とそこに従属する地域で構成される巨大独裁国家が、国民をコントロールするために開催するサバイバル・ゲーム、というスーザン・コリンズの原作小説の設定がここまで受け入れられたのは、アメリカの1パーセントの富裕層に対して、オキュパイ・ウォール・ストリートで「私たちが99パーセント」だと立ち上がった市民たちがこの設定に自己を投影したからと言われている。今作においても、主人公の少女カットニスが〈ハンガー・ゲーム〉で勝ち残っていく様が市街で中継され、その果敢な姿に奮い立ち人々が街で暴動を起こすシーンが挿入される。近未来を設定にした大作という見栄えでありながらも、こうした現実を反映したディティールのきめ細かさにより、単なる娯楽作とは異なる印象を与える。
映画『ハンガー・ゲーム』より (C) 2012 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED.
アメリカのリアリティー・ショーさながらのスリリングなゲーム感覚と少年少女たちのドラマを両立させようとするなか、なによりもジェニファー・ローレンスの強い意思を感じさせる表情が際立つ。『あの日、欲望の大地で』『ウィンターズ・ボーン』『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』と、シリアスな作品からアクションまで幅広い作品に出演し、確かな演技力をアピールしてきた彼女の、影のある、しかし凛とした表情は、家族のために、そして自分の未来を切り開くために闘うカットニスというキャラクターにふさわしい。
映画『ハンガー・ゲーム』より (C) 2012 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED.
映画『ハンガー・ゲーム』
2012年9月28日(金)TOHOシネマズ日劇他全国拡大ロードショー
北米の巨大独裁国家パネムに、今年も〈ハンガー・ゲーム〉のシーズンが到来した。最先端都市キャピトルと12の隷属地区で構成されるこの国には、74年前の反乱戦争によって荒廃した歴史があり、政府は国民を完全服従させるための見せしめ的なイベントとして〈ハンガー・ゲーム〉を創設したのだ。
第74回〈ハンガー・ゲーム〉のプレイヤー抽選会が行われる“刈入れの日”の当日、第12地区で異例の波乱が起こった。12歳のあどけないプリムローズ(ウィロー・シールズ)が不運にもプレイヤーに選ばれ、姉のカットニス・エバディーン(ジェニファー・ローレンス)が身代わりとしてゲーム参加を志願したのだ。男子のプレイヤーに選ばれたのは、同級生であるピータ・メラーク(ジョシュ・ハッチャーソン)だった。
監督・脚本:ゲイリー・ロス
出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース
原作:スーザン・コリンズ著「ハンガー・ゲーム」(メディア・ファクトリー刊)
2012年/アメリカ/143分/ドルビーSRD/スコープサイズ
配給:角川映画
(C) 2012 LIONS GATE FILMS INC.ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:http://www.hungergames.jp/
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