骰子の眼

cinema

東京都 渋谷区

2009-10-08 15:40


「一匹狼のスタイルを貫いた、男の生き様を見せ付ける」─『狼の死刑宣告』クロスレビュー

ケビン・ベーコンが草食系から肉食系に変貌する70年代アクションへのオマージュに満ちた快作
「一匹狼のスタイルを貫いた、男の生き様を見せ付ける」─『狼の死刑宣告』クロスレビュー
(C)2007 HPE Rights, Inc.

1970年代のアクション映画に数多くみられたヴィジランテ〈司法や警察に頼ることをせず、自らの意思により、自身の家族やコミュニティを守る一派印紙民を主人公とする物語のジャンル〉を換骨奪胎する映画が、2009年10月10日(土)より公開となる『狼の死刑宣告』だ。

随所に現れるワンテイクで撮影されたシーンの美しさ、日常を捉えながらどこかスタイリッシュな印象をもつ構成、それと相反するような壮絶なアクションと復讐譚。『SAW』シリーズでワールドワイドな知名度を獲得したジェームズ・ワンの魅力はそのままに、今作はケビン・ベーコンの強烈な存在感により、普通の人に潜む野生を剥き出しにすることに成功している。

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(C)2007 HPE Rights, Inc.

同じ原作者、ブライアン・ガーフィールドによる『狼よさらば』はもちろん、『ゲッタウェイ』『タクシードライバー』や数々の西部劇へのオマージュに満ちており、アクション映画ファンならば必ずや堪能していただける作品となっている。

そしてケビン・ベーコンの独壇場ともいえる演技とともに、ハリウッドにおける古典ともいうべきテーマを、斬新な手法により作品を次の段階へと押し上げていくジェームズ・ワン監督の才気が今後どのような進化を見せていくのか、興味は尽きない。




映画『狼の死刑宣告』
2009年10月10日(土)よりシアターN渋谷ほか全国ロードショー

監督:ジェームズ・ワン
出演:ケビン・ベーコン、ギャレット・ヘドランド、ケリー・プレストン、アイシャ・タイラー、ジョン・グッドマン
原作:ブライアン・ガーフィールド
提供・配給ハピネット
2007年/アメリカ/106分

公式サイト


レビュー(5)


  • momotimuさんのレビュー   2009-10-05 13:39

    現代のヴィジランテ映画 「狼の死刑宣告」

    狼の死刑宣告、予想していた以上の出来栄えに驚いた。ケビン・ベーコン演じるニックという男、投資会社の副社長を務め、お金は勿論、家族と平和に暮らす、いわゆるエリートである。 長男のホッケーの試合見物の帰り道、立ち寄ったガソリンスタンドで、ストリートギャ...  続きを読む

  • KOKさんのレビュー   2009-10-06 23:45

    アメリカ、アメリカ

    なんか久しぶりにアメリカの古き、良き?時代の映画を観たって感じです。 昔観た勧善懲悪風の映画の様でしたが、一方でアメリカの未だに抱えている銃問題や 殺人などに対する感覚の違いなんかをを実感するような、結構重いテーマを投げかけてる? のかな? ...  続きを読む

  • ここなつさんのレビュー   2009-10-07 16:11

    オヤジ魂に乾杯!

    静かなオープニング、迫り来るどきどき感。冒頭の幸せな家族の風景は絶対に、これから起こると予想される惨劇の中身を増幅させるための演出なのだ、と思ってしまうため、逆に目を覆いたくなる。この「目を覆いたくなる」感は、作中終始私を襲い、途中で「もう勘弁して!...  続きを読む

  • ブルースノーさんのレビュー   2009-10-07 21:09

    究極のベーコン映画

     ヴィジランテ(自警)映画。寡聞にして初めて目にしたジャンルだが、少なくとも配給元は本作をそのように売りたいようだ。チラシに書かれた字体の雰囲気は古臭いし、ざらついたスティール写真も然り。意図的に70年代のヴィジランテ映画の雰囲気を出そうとしているの...  続きを読む

  • chiiiさんのレビュー   2009-10-07 23:44

    リアルすぎる「復讐」映画

    地位も財力も人並み以上に恵まれた生活を送るニック(ケビン・ベーコン)の人生が、一夜のギャングの「儀式」の犠牲となり、一変してしまう。 今までの映画であれば、幸せな人生を奪ったギャングへのニック復讐劇を描くのでしょうが、この作品はそんな単純な復讐劇で...  続きを読む

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