2014-06-29

7月スタート、2つのワークショップのお知らせ このエントリーを含むはてなブックマーク 

【アップリンク2つのワークショップのお知らせ】

アップリンクでは「配給サポートワークショップ」と「ドキュメンタリー制作上映ワークショップ」の
2つのワークショップを行っています。
2つともそれぞれ7月スタートですのでそれぞれの特徴をお伝えしたいと思います。

2つのワークショップに共通するのは「シェア」の概念です。

『ドキュメンタリー制作上映ワークショップ』は、
参加者が映画を制作していくプロセスを「シェア」する形で進めます。

参加費は3万6000円と他の映画制作ワークショップとして比較してリーズナブルな価格設定です。
その理由は、デジタル技術が普及した現在、映像制作で教えること、学ぶことはほとんどないからです。
ビデオカメラや一眼レフのカメラ、そしてiPhoneなどのスマートフォンなどの"REC"ボタンを押すだけで映像は写るし、
どう撮れているかはモニターで撮りながらチェックできます。そこに撮影の秘密は何もありません。
デジタルでの映像制作は楽器と同じように、いかにその機器に長く触れ、練習をしたかだけです。
という時代になったので、映像制作の技術を教える学校システムは終わりました。
編集も自分で何度も試せばいいのです。そこで必要なのは他人の意見を聞くということではないでしょうか。
もちろん、自分のプロジェクトにプロデューサーがいて配給会社がついていればそれらの意見を参考にもできるでしょう。
ただ、個人で映像を作っていると、出来上がってからいきなり厳しい意見を浴びるより、
制作のプロセスでアドバイスを受ける方がより有効です。このワークショップでは参加者全員が監督であり、
参加者の作品にアドバイスするスタッフの一人です。
もう3年前になりますが、時代だなと思ったのは参加者の一人がiPadminiで撮影し、
編集もそのIPadmini上でImovieで編集して作品を仕上げる参加者がいました。
彼女のカメラも編集スタジオもiPadminiなので、最後の編集はスターバックスで行える時代だということです。
そして最近の傾向としては撮影機材もカメラからデバイスへ移行してることです。
IPhoneを使い倒せばハイヴィジョン画質で面白い映画を撮ることができるのです。高価なカメラも買う必要はありません。

参加者には初めてカメラを触わる人から、自主映画を撮ったこともある人、テレビ局で働いている人までが参加しています。
どうして技術のスキルの違う人が同じワークショップに参加しているかというと、
技術よりもなにを撮るかという企画と実行力の方が大切な時代になったからです。
「技術がないから」「お金がないから」は全く映画製作の障害ではなくなったのです。
ポストデジタル時代の映像制作のワークショップがアップリンクのワークショップです。

7月8日から 詳細⇒ http://www.uplink.co.jp/workshop/log/000896.php

次に『配給サポート・ワークショップ』ですが、アップリンクが持っている情報を
参加者に具体的な数字と経験を「シェア」する形で進めます。

配給作品を題材とするので、毎期内容が違う事が特徴です。
そのため連続して参加する方が多いのが特徴です。
長い人ですと7年以上も継続して参加しています。参加者の中から有志が集い毎年冬にユーロスペースで
北欧映画を紹介する『ノーザン・ライツ・フェスティバル』を過去3回行い、
さらにそこで上映した『シンプル・シモン』を配給するためフィリッカポイカという
映画配給会社まで立ち上げユーロスペースで上映しています。

「アート系映画の配給に未来はあるのか?」というテーマをいつも自問しながら
ワークショップを進めていますが、彼らの動きを見ていると未来はあるということでしょう。
4、5年前は配給会社の倒産が相次ぎました、ここ2年は映画のデジタル化というのが大きな問題でした。
ワークショップではそれらの問題に触れ、ゲストの方に今までの経験と考え方を「シェア」するレクチャーを
してもらい参加者と一緒に考えてきました。

実は、最近の傾向としてマーケットでの日本の会社の買付け作品は増えています。
ただし1作品あたりの売り上げは下がっていると思います。その一方、配給会社は増えています。
このことをはどういうことかというと、固定費がかかる大きな配給会社ではなく、
小さな配給会社、個人レベルの配給会社が増えているのではないでしょうか。
1作品あたりの売り上げが少なくても成り立つスモールビジネスとしての映画配給というわけです。
今回は、そのあたりのことを特に考えていきたいと思っています。

世間には映画ビジネスを教えたり、映画業界への高い就職率をうたっている
学校やセミナー、ワークショプがありますが、アップリンクのワークショップはそれらの要素もありますが、
もっと普遍的に社会の中でのアートの必要性、知識を伝えるドキュメンタリーの必要性、
映画ビジネスからみる世界の問題など、日本の中の小さな産業である映画ビジネスを通して
世界の仕組みを知ろうとするワークショップです。
アップリンク、映画業界、日本そして世界までと視点を振幅させながらワークショップを進めたいと思います。

7月3日から、詳細⇒http://www.uplink.co.jp/workshop/log/000962.php

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浅井 隆

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