銀座エルメス ル・ステュディオで上映中の『トムボーイ』は、とても新鮮でした。
つい先日までは、『アデル、ブルーは熱い色』が話題を集めていましたが、同じテーマを扱っているようで、実はこの作品はそれとはまったく異なります。
例えば、小中学生の頃、男の子なのに女の子っぽい子や、逆に女の子なのに男の子のように見える子が、同じクラスにいませんでしたか?
それは、決して「性同一性障害」(あまり好ましい言い方ではないけれど)というのではなく、まだ身体も心も成長しきっていないがゆえなのですが・・・。
あるいは、息子を望んだ父親が、娘にあえて男の子らしく振る舞うことを求めるといった場合もあります。本人自身が幼いと、まだそれを疑問に感じないまま過ごしてしまう可能性もあるでしょう。
この物語の主人公ロールは、まさに自分を取り巻く環境に合わせて、ときに男の子として、ときに女の子として、行動を変えます。それは、周囲の人たちに愛されたいがゆえの行動なのです。
女の子であることに、あるいは男の子であることに違和感を感じて・・・というのではありません。
当然のことながら、やがては、どちらとして生きるのが自分にとっての幸せなのか?と戸惑いを感じ始めます。
そんな切々としたロールの心情が、淡々と描かれており、とても好感がもてました。
映画というより、まるでドキュメンタリー。観ているほうも、最後までハラハラドキドキしどおしでした。
大人になると、常識で物事をとらえがちになり、偏見で世の中を見てしまうもの。
ときには、このような作品に触れて、子どもの目線を取り戻す必要があるのではないでしょうか?
http://www.art-it.asia/u/maisonhermes/CRPcGZt82SowlHVaUOi3?art-it=c39774394ec222929ec28c6ee45daabe